譚鍾麟

譚鍾麟（たん しょうりん、Tán Zhōnglín、1822年 - 1905年）は、清朝末期の官僚であり、字を文卿と称しました。湖南省茶陵県の出身で、後に中華民国で活躍する政治家、譚延闓の父としても知られています。

1856年、咸豊6年に進士に及第し、翰林院編修に任じられたことを皮切りに、その官僚としてのキャリアをスタートさせました。同治年間には、各地の地方官を歴任し、その行政手腕を磨きました。1871年、同治10年には、左宗棠の推薦を受け、陝西布政使に任命されます。その手腕が高く評価され、間もなく陝西巡撫代理に昇進しています。

左宗棠が新疆でヤクブ・ベクとの戦いを繰り広げた際、譚鍾麟は軍糧の輸送という重要な役割を担い、戦局を有利に進める上で大きな貢献を果たしました。これらの功績が認められ、1875年、光緒元年には正式に陝西巡撫に任命されました。1879年、光緒5年には浙江巡撫に任命され、在任中には、文化施設の文瀾閣を整備するなど、文化の振興にも尽力しました。その後、1881年、光緒7年には、陝甘総督に昇進し、現地の農業発展に力を注ぎました。

1888年、光緒14年には、病を理由に一旦官職を辞しましたが、その卓越した能力が惜しまれ、3年後に再び呼び戻され、1892年、光緒18年には工部尚書に任命されました。その後、閩浙総督に転任し、さらに1895年、光緒21年には両広総督に任じられています。両広総督在任中には、孫文が指導した広州蜂起を鎮圧し、陸皓東をはじめとする革命党員を処刑するという、歴史に残る出来事にも関与しました。また、戊戌の変法に反対する上奏を行い、保守派の西太后から高い評価を得ました。

1899年、光緒25年には、イギリスによる香港の新界地区の租借に反対し、病を理由に官職を辞しました。1905年、光緒31年に病死しましたが、その生前の功績を称えられ、文勤という諡号が贈られました。

譚鍾麟は、清朝末期の動乱期において、地方官から総督まで、様々な要職を歴任し、その行政手腕を発揮しました。また、文化振興や農業発展にも尽力し、清朝の発展に貢献した人物として知られています。しかし、その一方で、革命運動の鎮圧に関与し、戊戌の変法に反対するなど、保守的な側面も持ち合わせていました。その複雑な人物像は、清朝末期の歴史を考察する上で、重要な人物の一人と言えるでしょう。

彼の息子である譚延闓は、後に中華民国において重要な政治家として活躍しました。譚鍾麟の血筋は、その後の中国近代史にも影響を与えたと言えるでしょう。

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