讃岐国分寺

讃岐国分寺：歴史と自然が織りなす聖地

香川県高松市国分寺町国分にある讃岐国分寺は、真言宗御室派に属する寺院です。白牛山千手院と号し、四国八十八箇所霊場の第八十番札所として、多くの巡礼者から崇敬を集めています。本尊は十一面千手観世音菩薩で、その荘厳な姿は多くの参拝者を魅了します。

歴史の重み：国分寺としての起源と変遷

讃岐国分寺は、奈良時代の聖武天皇による国分寺建立の詔によって創建されたと推測されています。寺伝によれば、行基が開基し、丈六の十一面千手観世音菩薩を本尊として祀ったと伝えられています。現在安置されている本尊は江戸期以前の作とされ、四国霊場において最大級の立像として知られています。

創建当初の具体的な様子は不明な点も多いですが、『続日本紀』の記述から、天平勝宝8年（756年）には寺観が整っていたと考えられています。その後、明徳2年（1391年）の文献には西大寺の末寺であったことが記されており、鎌倉時代後期までその関係が続いたと推測されています。現存する本堂の建築様式にも、西大寺の影響が見られます。

天正年間の兵火によって、本堂、本尊、鐘楼以外の建物は焼失しましたが、江戸時代には讃岐高松藩主の崇敬を受け、寺領の寄進を受けるなど、庇護を受けながら存続してきました。

境内：見どころ満載の広大な敷地

讃岐国分寺の境内は、創建当時の国分寺の伽藍と重複しており、歴史的な価値が非常に高いです。仁王門をくぐると、両脇にミニ四国八十八箇所の石仏が並ぶ参道が続き、静寂に包まれた空間が広がります。参道沿いには、閻魔堂、四国最古とされる釣鐘を収めた鐘楼など、様々な建物が点在しています。

本堂は、創建時の講堂跡に建てられており、その礎石が再利用されています。本尊の開帳は60年に一度とされ、普段は前立の千手観音、不動明王、大師像を拝観することができます。また、大師堂、大日如来堂、閻魔堂、千体地蔵堂など、様々な堂宇があり、それぞれに特徴的な仏像や神様を祀っています。境内には、御衣木や福松といった、歴史を感じさせる樹木も存在します。

国の特別史跡：讃岐国分寺跡

讃岐国分寺は、その歴史的な価値から、伽藍跡も国の特別史跡に指定されています。発掘調査によって、奈良時代の寺域が南北240メートル、東西220メートルに及ぶことが明らかになり、現在の国分寺や東隣にある宝林寺を含んでいることが判明しました。

大官大寺式伽藍配置で、中門、金堂、講堂が南北一直線上に並び、回廊で結ばれた伽藍の規模は壮大です。金堂、七重塔などの礎石が原位置に残っており、その保存状態の良さは全国の国分寺跡の中でも際立っています。遺跡公園として整備された跡地では、奈良時代の伽藍を縮尺模型で再現した展示や、築地塀の一部を復元した遺構を見学することができます。

文化財：貴重な建造物と仏像

讃岐国分寺の本堂、木造千手観音立像、銅鐘は国の重要文化財に指定されています。本堂は鎌倉時代後期の建立で、奈良時代の講堂跡の礎石を再利用しており、歴史の重みを感じさせます。木造千手観音立像は、平安時代末期の作とされ、その優美な姿は多くの参拝者を魅了します。銅鐘は平安時代前期の鋳造と考えられ、その悠久の音色は時の流れを感じさせます。

アクセスと周辺情報

讃岐国分寺へのアクセスは、JR四国予讃線国分駅から徒歩約3分、または高松自動車道高松西IC、高松檀紙ICから車で約6分です。周辺には、府中・山内瓦窯跡、讃岐国分尼寺跡、讃岐国府跡など、歴史的な遺跡が点在しており、合わせて巡ることで、古代讃岐の歴史をより深く知ることができます。

讃岐国分寺は、歴史、文化、自然が融合した、静寂と荘厳さに満ちた場所です。四国八十八箇所巡礼の旅の途中に訪れるも良し、歴史と自然に触れたいと願う人にとっても、魅力的な場所と言えるでしょう。

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