谷底平野

谷底平野とは

谷底平野は、山地や台地に挟まれた細長い低平地であり、河川によって運ばれた土砂が堆積して形成される沖積平野の一種です。河川によって作られた地形である河成地形の小地形として分類されます。谷底平野の中でも、河岸段丘を除いた低地の部分を特に谷底低地と呼びます。

谷底平野の形成過程

谷底平野は、その形成過程の違いによって、大きく以下の2種類に分けられます。

谷底堆積低地: 河川が運搬してきた礫、砂、泥などの堆積物が、V字谷の谷底に長年堆積することで形成されます。堆積する物質の種類によって、扇状地、氾濫原、三角州といった性質を持つことがあります。
谷底侵食低地: 河川がV字谷を下方へ侵食する力が弱まり、代わりに側方への侵食が強まることで形成されます。谷底の幅が広がり、薄い礫質の堆積物が見られるのが特徴です。場所によっては基盤岩が露出していることもあります。

谷底堆積低地の詳細

谷底堆積低地は、堆積物の種類や地形によって、さらに細かく分類できます。

急峻な山地: 礫質の堆積物が卓越することが多く、扇状地のような地形を形成します。
小起伏の山地や丘陵: 砂質の堆積物が卓越することが多く、氾濫原のような地形を形成します。
低平な台地や海岸沿い: 泥質の堆積物が卓越することが多く、三角州のような地形を形成します。

谷底侵食低地の詳細

谷底侵食低地は、河川の側方侵食によって谷底が広がることで形成されます。表面には薄い礫質の堆積物が見られますが、場所によっては基盤岩が露出していることもあります。

谷底平野の土地利用

谷底平野は、その地形的特徴から、様々な用途に利用されています。特に、大きな河川の上流部では、ダムが建設されることが多いです。

谷底平野の自然災害リスク

谷底平野は、その地形や地質的特徴から、様々な自然災害のリスクを抱えています。

谷底堆積低地の災害リスク

谷底堆積低地の災害リスクは、扇状地的なもの、氾濫原的なもの、三角州的なものによって異なります。

扇状地的なもの: 急な流れによる河川氾濫が発生しやすい。
三角州的なもの: 氾濫水の流れは緩やかだが、長期間にわたる湛水のリスクがある。

また、堆積層の構成物質や厚さは場所によって異なるため、地盤の性質も様々です。

谷底侵食低地の災害リスク

谷底侵食低地は、勾配が急な場所が多いため、土石流や流木を含んだ激しい流れの河川氾濫が発生するリスクがあります。また、河川の側方侵食によって周囲の山地斜面が不安定になっている場合があり、斜面の崩壊や支流の土石流、それによる河道閉塞などにも注意が必要です。堆積層は非常に薄いため地盤は強固であり、地震時の揺れやすさや液状化のリスクは小さいとされています。

まとめ

谷底平野は、その形成過程や地形的特徴から、様々な種類があり、それぞれ異なる自然災害のリスクを抱えています。谷底平野に住む場合は、これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

参考文献

鈴木隆介. 建設技術者のための地形図読図入門 第2巻 低地. 古今書院

関連項目

河岸段丘
氾濫原
* 洪田

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