谷村智啓

谷村 智啓（たにむら ともひろ）

1947年8月3日、兵庫県西宮市に生まれた谷村智啓氏は、元プロ野球選手であり、引退後は指導者としても長く球界に携わりました。旧名は智博。

プロ入りまで

報徳学園高校では、2年生だった1964年に春の選抜甲子園に控え投手として出場しますが、登板機会はありませんでした。同年夏の兵庫大会では、エース鈴木啓示投手を擁する育英高校に惜敗します。

3年生となった1965年夏にはエースとしてチームを牽引。再び決勝で育英高校と対戦し、鈴木投手との投手戦を制して甲子園本大会への切符を掴みます。本大会では2試合を完封するなど快投を見せましたが、準々決勝で三池工業高校のエース上田卓三投手との投げ合いの末、ボーク判定が響き延長戦でサヨナラ負けを喫しました。同年の岐阜国体でも三池工業に敗れています。報徳学園時代のチームメイトには、水沼四郎氏、基満男氏、荒武康博氏らがいます。

高校卒業後は関西学院大学に進学し、関西六大学リーグでプレー。1年秋にはリーグ優勝を経験しました。リーグ戦通算で20勝を挙げています。

大学卒業後、1970年に鐘淵化学に入社。社会人野球でも才能を開花させ、同年の都市対抗野球ではチームを準々決勝に導き、大会優秀選手に選出されました。同年開催された産業対抗野球でも準々決勝に進出し、ここでも優秀選手賞を受賞。年間を通じての活躍が評価され、社会人ベストナインにも輝きました。

プロ野球現役時代

社会人での実績を高く評価され、1970年のドラフト会議で阪神タイガースから1位指名を受けて入団。期待の表れとして、エースナンバーである背番号18を与えられました。プロ入り当初は、左足を高く上げると同時に腕を振り出すような、通称「タコ踊り」と呼ばれる独特な投球フォームで大きな注目を集めました。

1971年4月24日の広島戦でプロ初登板。同年9月28日の中日戦でプロ初勝利を挙げます。1972年には先発ローテーションに定着し、5月21日の大洋戦で初完投勝利、同月31日の大洋戦でプロ初完封勝利を達成しました。

この年、自身唯一となるオールスターゲームに出場。第1戦で先発を任されましたが、当時の専任捕手として出場していた野村克也氏（南海）に先制打と勝ち越し本塁打を浴び、敗戦投手となりました。

1973年はリーグ優勝がかかった最終盤、10月14日の広島戦で先発するも早い回で降板し敗戦投手となり、チームは巨人の逆転優勝を許す結果となりました。

1974年には小山正明コーチ（当時）の指導でパームボールを習得し、投球の幅を広げます。この年、登録名を現在の「智啓」に改名。6月26日のヤクルト戦で改名後初勝利を完封で飾りました。また、5月30日の巨人戦では王貞治氏にプロ通算600号本塁打を献上するという記録に立ち会っています。

1975年には背番号を15に変更し、3年ぶりの2桁勝利となる11勝を記録。翌1976年には自己最多の12勝を挙げ、2年連続で2桁勝利を達成しました。1977年も7勝を挙げ、この年8月25日のヤクルト戦では大杉勝男氏に1500本安打を打たれています。1978年には、9月26日の中日戦で宇野勝氏にプロ初本塁打を献上しました。

1979年オフ、鈴木弘規氏とのトレードで阪急ブレーブスへ移籍。阪急では1980年に先発・リリーフとして7勝を挙げ、チームに貢献しました。同年4月17日の西武戦では、元阪神の古沢憲司氏と投げ合い勝利しています。7月29日の西武戦では、野村克也氏の現役最後の本塁打を打たれるという珍しい記録に関わりました。

1985年10月14日の近鉄戦に先発し、9回1失点で完投勝利。これが現役最後の登板となり、この年限りでユニフォームを脱ぎました。

引退後

現役引退後は、阪急・オリックス球団に残り、二軍投手コーチ（1986年〜1990年、2004年〜2006年）やスカウト、編成部長などを歴任。スカウト時代には、自身の後輩にあたる田口壮氏の獲得に尽力しました。

オリックス退団後も野球との関わりは続き、2010年から2011年にかけてはBCリーグの福井ミラクルエレファンツで投手コーチを務めました。近年は高校野球の指導にも力を入れており、2020年6月頃からは兵庫県立武庫荘総合高等学校で週数回、投手コーチとして指導にあたっています。また、東大阪大学柏原高等学校のアドバイザーや、月2回は大谷高等学校のコーチも兼任するなど、アマチュア野球の指導者として後進の育成に貢献しています。

もう一度検索