豊國福馬

豊國福馬（とよくに ふくま）

豊國福馬は、1893年8月9日に大分県大分市下郡滝尾で誕生した大相撲の力士である。本名は高橋福馬であり、彼の最高位は東大関である。福馬は、生来堂々とした体格を持ち、若い頃から注目を浴びていた。20歳での徴兵検査では181cm、80kgという体重があり、その体格は大きな期待を寄せられる要因となった。

福馬は、小倉北方野戦砲兵第12連隊での服務中に、隣接する連隊長から相撲への転向を勧められ、除隊後に上京して井筒部屋に入門することとなる。彼は、1915年の1月場所で初土俵を踏み、四股名は「陸錦（くがにしき）」とする。これは、引退したばかりの相撲の偉人、常陸山谷右エ門と錦洋与三郎から取られたものであった。

入門後は、序二段や三段目で全勝を収め、順調に出世を遂げていった。1919年の1月には新十両、そして1921年の5月には新入幕を果たす。四股名は「小野川」と改称されるが、実はその由来は後援者の勧めによるものであり、喜三郎という名には恥じらいを感じたため、より謙虚な「小野川喜一郎」と名乗っていた。

彼は、入幕後にさらなる努力をし、取組でのスタイルも進化を遂げた。強烈な突きを繰り出しつつ、その後は左四つからの寄りや多彩な投げ技を駆使して取組に臨んだ。特に、腰の脆さが弱点であったため、攻防の際には、その点を突かれることもあった。

1926年には、東西合併に先駆けて行われた実力審査の場で「豊國喜一郎」の名で出場し、その後も本場所では小野川の名で取っていた。しかし1928年の3月場所からは「豊國福馬」という新たな名に改め、さらに魅力を増していくことになる。

1927年には関脇に昇進し、その年の3月と5月の場所で連続して9勝2敗を記録し、大関昇進を果たす。彼の実績は、その後さらに続き、1929年と1930年の1月場所での幕内最高優勝などにより、横綱昇進も期待される事態となった。しかし、同年の10月場所での腰部負傷が、彼の現役を終わらせる引き金となった。

引退後は、年寄・九重として九重部屋を経営する道を選んだが、体調不良が影響し、1937年の5月場所で日本相撲協会を去ることとなった。弟子たちは朝日山部屋に転属することになり、福馬自身は教育サイドとしての道を歩むことはなかった。

1942年5月5日、彼は48歳でこの世を去った。福馬の通算成績は208勝101敗、幕内成績162勝87敗であり、幕内在位26場所、大関在位13場所の実績を残す力士であった。彼の存在は、今でも多くの相撲ファンに記憶されている。

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