豊山勝男

豊山勝男 – 元大相撲力士とその功績

豊山勝男（ゆたかやま かつお）は、1937年8月18日生まれの元大相撲力士です。新潟県新発田市出身で、時津風部屋に所属していました。彼の本名は内田勝男（うちだ かつお）で、現役時代には189cmの身長と137kgの体重を誇り、得意技として突っ張り、右四つ、吊り、寄り、そして上手投げを使用していました。最高位は東大関であり、引退後は日本相撲協会の理事長を第8代として努めました。

来歴と学生相撲時代

豊山は母子家庭で育ち、教育とスポーツの両方を大切にしながら過ごしました。新潟県立新発田商工高等学校では陸上や野球で活躍し、東京農業大学に進学。ここで相撲を始めることとなります。相撲経験がなくても、入部後に4年生時には学生[[横綱]]に輝くほどの実力を身につけ、この実績が彼を1961年3月場所に時津風部屋から幕下10枚目格付出での初土俵に導きました。

入門当初は出羽海部屋に入る予定だったものの、鏡里（当時は年寄・粂川）の熱心な勧誘により時津風部屋へ。初土俵後、1961年9月場所には十両昇進を果たし、11月場所では全勝優勝を達成する快挙を成し遂げます。翌年の1962年1月場所には新入幕を果たし、豊山の名を冠したことになります。12勝を挙げる活躍で、当時の最速記録を更新しました。

大関昇進とその後

1963年3月場所では、幕内所要7場所で大学出身として初めて大関に昇進。彼は「インテリ大関」と称され、期待を一身に集めましたが、その後の成績は期待ほどのものではなく、大関としての初日には敗北を喫し、7勝8敗と負け越してしまいます。以降も優勝に恵まれずに終わることが多く、数々の記録を期待されていたものの、横綱昇進には至らず、未完の大器と評されています。

大関在位中、特に印象的だったのは強力な突っ張りや四つ相撲であったものの、取り口の変化や腰の故障が彼の相撲に影響を与えました。1968年3月には角番に立たされ、最終的に1968年9月場所での負け越しを経て、引退を発表しました。引退時には自己の未練と自信のなさを語ったとされています。大関在位34場所は、当時北葉山の30場所を超える歴代1位記録でした。

理事長としての活動

引退後、豊山は時津風部屋を継承した後、1970年には便宜上最年少で日本相撲協会理事に就任。そして、生活指導部長や地方場所部長を歴任します。1982年には執行部の役員に抜擢され、従来の年寄名跡改革や外国人力士の規制強化といった施策を推進しました。1998年には第8代理事長となり、大関経験者として初の大卒理事長でもありました。理事長としての在任中、多くの改革に取り組み、女性の横綱審議委員も起用するなど進歩的な姿勢を示しました。特に、年寄名跡の透明性向上に努め、協会の信頼回復に力を入れました。

エピソードと影響

豊山は、その美貌から「むっつり右門」と称され、アイドル力士の先駆けとしても知られていました。インタビューに無口であったことから、プライベートは比較的知られていませんが、母校の指導に力を入れ続け、学生たちの成長を支えています。また、場内での所作や相撲のエチケットに関しても、後輩たちに強く指導できる基盤を持っている存在として知られています。

2021年には84歳を迎え、記録としては最年長の大関出身者となりました。相撲界に多大な影響を与えた豊山勝男の生涯は、人々に感動と勇気を与え続けています。

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