貴島清彦

貴島清彦（きじま きよひこ）

生涯

貴島清彦は、1917年2月19日に東京府小石川茗荷谷（現在の東京都文京区）で生まれました。父親は薩摩琵琶、姉は生田流の箏を演奏するという音楽的な家庭環境で育ちました。

東京府立第六中学校（現在の東京都立新宿高等学校）在学中の16歳の時、作曲への強い憧れから草川信に和声を師事し、音楽の道へと進み始めました。1934年には日本大学芸術科に入学し、小松耕輔、池内友次郎に理論と作曲を、ジェームス・ダンにピアノを学び、1938年に卒業しました。

1938年11月には、作曲した《交響曲の第1楽章》が第7回日本音楽コンクールで第2位に入賞し、翌年には大学から芸術賞を受賞しました。卒業後しばらくは療養生活を送り、作曲活動を中断しましたが、その間、読書や音楽鑑賞を通じて、自身の音楽観や作曲に対する姿勢を深く考察する時間となりました。1948年には、平尾貴四男が主宰する地人会の結成に参加し、同年の第17回毎日音楽コンクール管弦楽曲部門では《前奏曲と追複曲》が第1位、特賞を受賞しました。1949年からは日本大学芸術学部の助教授、後に教授として後進の指導に尽力しました。1955年には池内友次郎が主宰する深新會にも参加し、作品を発表しました。

1998年7月14日、逝去。

作風

貴島の作風は、機能和声に基づいた明快なものが特徴です。富樫康の言葉を借りれば、「『自然』こそ真実であり、美である」という考えが根底にあるとされています。その作品は、自然の美しさや人間の感情を率直に表現しており、聴衆に深い感動を与えます。

作品

管弦楽作品

譚詩曲「五月野」（1941年）
序曲イ長調（1942年）
前奏曲とフーガ（1948年）
二つの断章（1954年）
管弦楽のための瞑想曲集（1956年）
祭礼囃子による嬉遊曲（1963年）

室内楽作品

ソプラノとフルート、ピアノのための「五月野」（1940年）
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ（1951年）
ピアノのための古代舞踊（1957年）
声とフルート、ピアノのための朗詠「嘉辰」（1970年）
声とフルート、ピアノのための催馬楽「伊勢の海」（1970年）
尺八と箏のための「縒合」（1980年）
ピアノ三重奏曲（1990年）

その他

日本大学三島高等学校・中学校校歌
立川市立立川第七中学校校歌
長崎日本大学中学・高等学校校歌
* 佐野市立城東中学校校歌


貴島清彦は、日本の音楽界に大きな足跡を残した作曲家の一人として、その作品は今もなお多くの人々に愛されています。

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