催馬楽

催馬楽について

催馬楽（さいばら）は、平安時代に特に庶民の間で盛んに歌われた古代の歌謡です。この形式の歌は、各地の民謡や風俗歌に外来楽器の演奏を伴うことで新しい音楽スタイルを生み出しました。9世紀から10世紀にかけてその文化は絶頂を迎え、催馬楽は遊宴や祝宴などの場で歌われました。特に、管絃の楽器と笏拍子の伴奏によって行われる「歌いもの」として知られています。

歴史的背景

催馬楽は平安時代初期から流行し、特に醍醐天皇の時代（897-930）には、宮廷での「御遊」において天皇や貴族たちが演奏を楽しむようになりました。元々は庶民の間で歌われていたため、催馬楽の旋律は多様であり、特に定まったものではありませんでした。しかし、徐々に貴族たちによって雅楽風に編曲され、宮廷音楽としての地位を確立しました。平安時代中期には、「律」と「呂」の2種の旋法が定義され、多くの曲がそれに基づいて演奏されるようになりました。

歌詞と演奏スタイル

催馬楽の歌詞は主に古代の素朴な恋愛や民俗的な生活感情を表現したものであり、さまざまな形式が存在します。四句切れの旋頭歌などがあった他、歌詞の殆どは五七五七七の短歌形式に組み合わされることが多いです。演奏時には、ソリストが笏拍子を打ちながら歌い、参加者がそれに続いて斉唱します。伴奏は琵琶や箏、笙、篳篥などの楽器が用いられ、舞は伴わないのが特徴です。

語源と起源

催馬楽という名称の由来については諸説あり、馬子唄や唐楽、また神楽の前張から発展したなどが提唱されています。このような背景には、民間の歌謡が貴族の宴会で用いられるようになり、更に大嘗会の風俗歌や新作歌が取り入れられる過程があります。興味深いことに、催馬楽は神楽とも深く関連しており、宗教的な儀式や法会でも利用されていました。特に、江戸時代には這う花や法楽に取り入れられることが多く、催馬楽は神楽の一部として機能していました。

変遷と復興

室町時代には一度衰退した催馬楽ですが、江戸時代に入ると復興の動きが見られました。特に、明治時代以降には宮内庁楽部によって催馬楽が再評価され、選定された楽曲が演奏されています。また、江戸時代の歌謡復興においても、古譜からの復元が試みられました。今日では、催馬楽は雅楽として公演やイベントで演奏され続けています。

収録文献

催馬楽に関する文献も豊富に存在し、平凡社や小学館などから多くの資料が出版されています。これら文献には催馬楽の歌詞やその解釈に関する詳細がまとめられ、学問的な研究が進められています。

総じて、催馬楽は平安時代の民間音楽を賞賛し、庶民文化の象徴とも言える興味深い音楽スタイルです。

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