貴布禰神社 (尼崎市)

貴布禰神社（きふねじんじゃ）

兵庫県尼崎市西本町に鎮座する貴布禰神社は、古くから地域の人々に崇敬されてきた神社です。京都の貴船神社を総本宮とし、旧尼崎町の惣氏神として、また、尼崎だんじり祭の中心を担う神社としても知られています。市内には同名の神社が長洲にも存在し、そちらが発祥の地とされています。本稿では、西本町の貴布禰神社を中心に、長洲の貴布禰神社についても併せて解説します。

歴史

貴布禰神社の創建には諸説あり、平安遷都の際に運搬船を仕立てた紀氏が紀船社を祀ったという説や、丹生川上神社・貴船神社との関連を指摘する説などがあります。

長洲貴布禰神社

発祥の地とされる長洲の貴布禰神社は、東長洲の地に創建され、現在もその地に鎮座しています。近世には貴布禰大明神とも呼ばれ、西本町の同社と区別するために長洲貴布禰神社と称されることもあります。主祭神は高龗神（タカオカミノカミ）で、毎年10月の体育の日前日に例祭が行われています。

分祀と移転

西本町の貴布禰神社は、中世に長洲から分祀されたと考えられています。当初は尼崎城の西三の丸にありましたが、尼崎城の改築に伴い、西屋敷役人町、さらに1715年に現在の西本町へと移転しました。

年表

1825年（文政8年） - 社殿が竣工
1873年（明治6年） - 郷社に格付け
1915年（大正4年） - 周辺の神社を合祀
1920年（大正9年） - 県社に昇格（尼崎市内で唯一）
1945年（昭和20年） - 戦災で社殿が被災、1950年に復興
1995年（平成7年） - 阪神・淡路大震災で被災、翌年復興

祭神

貴布禰神社は、水神である高龗神を祀り、漁業や水運に関わる人々から信仰を集めてきました。また、雨乞いの神事も行われ、農業においても重要な信仰対象でした。歴代の尼崎藩主からも崇敬を集めていたと伝えられています。

本殿: 主祭神：高龗神、配神：加茂別雷大神、加茂御祖大神
境内社: 19社の祭神を祀る

祭事

旧尼崎町の惣社として、夏祭には各町から地車が繰り出し、城下は賑わいを見せました。境内には芝居小屋があり、さまざまな娯楽が提供されていました。現在も毎年8月1日・2日には、だんじり祭が開催されています。

主な祭事：

1月1日：歳旦祭
1月10日：市庭戎神社大祭
4月26日：白波稲荷神社大祭
7月16日：夏越祭
8月1 - 2日：大祭（だんじり祭）
9月24日：愛敬三社祭礼
12月31日：除夜祭

境内

社殿は本殿、幣殿、拝殿、すき塀からなり、7つの境内社が鎮座しています。尼崎市内の神社では珍しく表門を備えています。

社殿

台湾檜を使用した木造の社殿は、1950年に竣工しました。2002年には改修工事が行われ、屋根の葺き替えや幣殿の拡張などが行われました。

大鳥居

境内の南側入口にある高さ約7mの大鳥居は、阪神・淡路大震災で全壊しましたが、翌年に鋼板製で再建されました。深緑色なのは、社殿との調和や汚れが目立たないように配慮したためです。

南門（表門）

境内南側にある表門は、1700年頃に建てられたとされています。阪神・淡路大震災で半壊しましたが、修復されました。

白波稲荷神社

本殿の右奥に位置する稲荷神社は、元々尼崎城内にあり、城主が城内と城下の安泰を祈願していました。明治初年に現在地に移されました。2014年には修復工事が行われ、往時の姿を取り戻しました。

愛敬三社

可愛霊神、可美霊神、善哉霊神を祀る神社です。旧尼崎藩主・桜井家にゆかりがあり、1758年に御神号が授与されました。

市庭戎神社

蛭子神を祀る神社で、古い門前町であった市庭町の産土神です。1915年に貴布禰神社境内に遷座しました。

交通

阪神出屋敷駅下車、南東へ徒歩約7分
阪神尼崎駅下車、西へ徒歩約15分

長洲貴布禰神社へのアクセス

阪神バス「天満神社前」バス停下車、東へ徒歩約5分

関連情報

尼崎中央・三和・出屋敷商店街: 三和本通商店街にある「来恋夢神社」の神事を貴布禰神社が執り行っています。

外部リンク

尼崎総氏神 貴布禰神社 - 西本町同神社の公式サイト
* 長洲貴布禰神社 - 長洲同神社の公式Facebook

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