賀茂角足

賀茂角足（かも の つのたり）について

賀茂角足は、奈良時代に活躍した貴族で、その氏族は「鴨」とも記されています。姓は朝臣であり、官位は正五位上・遠江守といった高い地位を有していました。彼の経歴は、当時の政治情勢や貴族社会における彼の役割を浮き彫りにしています。

経歴の詳細

角足は、天平15年（743年）に外従五位下として始まり、続いて右京亮に任命されます。その後の数年間、内位や従五位などの位を徐々に昇進していき、最終的には正五位上にまで至ります。特に、天平勝宝元年（749年）には、孝謙天皇の即位に伴い、急速に昇進しました。8月には紫微中台の設置に伴い、藤原仲麻呂の側近として重要な役割を果たすようになります。

しかし、彼の浮き沈みの歴史はこれだけに留まりません。天平勝宝9年（757年）には、正五位上に昇叙されるも、同年の6月には地方官である遠江守に転任となりました。この頃、奈良時代日本は内外に様々な混乱を抱えており、角足もその渦中に引き込まれてしまいます。

特に、同年7月に発生した橘奈良麻呂の乱では、彼の行動が物議を醸しました。彼は、反乱者の招集役として活動し、共謀者たちを自宅に招いて酒宴を開くことで、敵の足並みを乱す試みをしました。このような行動が反乱に加担することになり、彼の運命を大きく変えることになったのです。

反乱とその後

角足は、反乱に加担したとして捕えられ、最終的には獄死することになります。彼は、交渉や招集、指導を行った結果、反乱に参加した者たちと共に捕縛され、その後厳しい拷問を受けて命を落とすことになりました。

この結果、彼は「乃呂志」と名を変えられましたが、後に宝亀3年（772年）に、賀茂朝臣へ改姓を許されます。賀茂比良麻呂という姓を持つ人物が角足の子息であると考えられており、彼の家系の存続はその後の時代にも影響を与えたことでしょう。

官歴の記録

『続日本紀』に記された官歴は、彼の昇進の過程を詳述しています。初めは正六位上から始まり、外従五位下、右京亮、従五位下、従五位上などと順調に昇進します。最終的に正五位上に到達した後の転任が、彼の運命を決定づけることになります。これらの経歴からも、彼が当時の奈良の政治においていかに重要な人物であったかがうかがえます。

結論

賀茂角足の生涯は、奈良時代の政治的な激動を反映したものであり、彼自身の功績や失脚は、多くの歴史的出来事に影響を与えたと考えられます。彼の行動は、当時の貴族社会の中での力関係や、反乱の影響を知るための重要な鍵となっています。

もう一度検索