賈似道

賈似道の生涯と業績

賈似道（か じどう、1213年8月25日 - 1275年10月9日）は、中国南宋末期における名高い軍人であり政治家です。彼は、南宋の皇帝理宗の寵妃の姉の影響を受けて政治の道を歩み、数多くの功績を残しましたが、その人生は波瀾万丈でした。

前半生

賈似道は、台州天台県に生まれました。父は賈渉という名の官僚で、母は彼の妾であった胡氏です。賈似道が生まれた直後、母は家を追い出されますが、後に賈似道が出世するとともに貧しい母を迎え入れました。その後、賈の家は再び栄光を取り戻します。

賈似道は11歳の時に父を亡くし、その後は父の築いた地位を受け継ぐ形で官職へと昇進します。彼は、科挙の試験を受ける機会を得て、殿試を経て進士の資格を取得することになります。そこから彼の政治家としてのキャリアが始まります。

軍歴と防衛戦の成果

淳祐6年（1246年）、賈似道は国境でモンゴルとの戦いを指揮する京湖制置使に任命され、湖北に赴任しました。彼は国境の防備を強化し、モンゴルが南宋に侵攻してきた際には、自ら軍を指揮して防衛線を守ります。特に、景定元年（1260年）の長江での戦いでは、モンゴル軍に対し見事な戦術を駆使して勝利を収めました。

しかし、戦局は長引き、賈似道の政治的な立場も次第に危うくなっていきます。彼は南宋の丞相に就任した後、自らの権力を強化する一方で、軍紀の引き締めを行う施策も実施しました。これは一部からは賈似道の権威を疑問視される結果となりました。

政策と施策

賈似道は、南宋での兵糧確保のために、不換紙幣である会子の制御を行いました。土地を強制的に買収し、小作人農家に貸与することで、戦費の調達を試みます。この施策は賈似道の名を語られるものにしましたが、一方で大地主たちからの反感も買いました。

賈似道はまた、古物の収集や文化事業にも力を入れました。彼の所蔵する骨董品は南宋の朝廷以上とも言われ、古銅器や金玉、珍品が集芳園で保管されていました。彼はまた、闘蟋というコオロギ相撲の愛好家でもあり、『促織経』という本を著しました。これは世界初のコオロギに関する百科事典とされ、彼の独自の知識体系を示しています。

晩年と亡命

しかしながら、賈似道の運命は次第に暗転します。彼は北方の元軍との戦いで大敗を喫し、朝廷からの弾劾を受けて流罪となります。最終的には敵対者により暗殺され、南宋末期の激しい混乱の中でその生涯を閉じました。

賈似道は、武人として確固たる地位を築いた一方で、その政治的手法や人事に関する策謀によって多くの敵も作りました。彼の生涯は、南宋の滅亡に向かう歴史の激流の中での一つの縮図とも言えるでしょう。

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