赤坂台古墳群

赤坂台古墳群の概要

赤坂台古墳群（あかさかだいこふんぐん）は、山梨県甲斐市の竜王、竜王新町、竜地に位置する古墳群で、主に7世紀に築造されたとされています。古墳群は30基以上存在することが推定されており、すべての古墳が横穴式石室を有する円墳であることが特徴です。

立地と歴史的背景

赤坂台古墳群の所在地である甲斐市は、甲府盆地の北西部にあたります。この地域は「赤坂台地」と呼ばれ、茅ヶ岳山麓の南部に広がる赤土のローム層が特徴です。古墳群が築かれる以前の旧石器時代から縄文時代、弥生時代の遺跡は見られないものの、古墳時代に入るとこの地区で古墳が建造され始めました。

地方の南部には平坦地が広がり、釜無川の氾濫原が常に水害に見舞われており、中世には信玄堤が築かれました。この地域は歴史的にも重要で、古代の律令制度のもとでは巨摩郡の一部として認識されており、渡来人が多く集住したことでも知られています。また、中世や近世には甲州街道が南北に通過し、交通の要所でもありました。

古墳時代の甲斐国では、4世紀中頃から古墳の派生が見られ、特に6世紀中頃には技術が進化し、横穴式石室を持つ古墳が多く築造されました。赤坂台古墳群はこのような古墳時代の後期にあたる6世紀末から7世紀にかけてのもので、盆地北西部の勢力によって刀墓地として利用されるようになったと考えられています。

出土品と考古的意義

赤坂台古墳群の一つである竜王ニツ塚墳からは、金銅製の薄板で作られた飾金具や馬具が出土しており、古墳の副葬品としても注目されています。特に6世紀後半には馬が日本列島に伝来し、その装飾品が権威の象徴とされていたことがわかります。また、赤坂台古墳群では、7世紀後半の馬具が見つかり、これは当時の東山道を経由して持ち込まれた可能性が捨てきれません。

古墳時代におけるこれらの馬具は、斉明天皇の時代における蝦夷政策や、その後の東北地方の経営において重要な役割を果たした可能性が示唆されています。

赤坂台古墳群の支群

この古墳群は赤坂台地南東の斜面に分布し、高さは約290メートルから350メートルに及びます。地域には、ニツ塚支群、狐塚支群、西山支群、両目塚・形部塚支群の4つの支群に分かれています。

中秣塚古墳

中秣塚古墳（なかまきづかこふん）は赤坂台古墳群の中でも特に高地に位置し、他の支群から外れた北西部に存在します。この古墳は7世紀前半に築かれ、直径14メートルの円墳で、南向きの開口部を持つ横穴式石室を有しています。発掘調査の結果、様々な副葬品が見つかり、その内容は土器や金環、直刀など多岐にわたります。

古墳は1997年に山梨県の史跡に指定され、その後も継続的な保存活動が行われています。

研究の経緯

赤坂台古墳群は江戸時代から知られており、その存在は『甲斐国志』の中でも記録されています。さらに、近代に入ると民俗学者による記録や、考古学者による調査が進められており、古墳の成り立ちや出土遺物についての理解が深まっています。このように、赤坂台古墳群は古代の日本を知る上で重要な遺跡とされ、現在でも多くの研究が続けられています。

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