赤城さかえ

赤城さかえ：激動の時代を生きた俳人

赤城さかえ（1908年-1967年）は、20世紀日本の俳壇にその名を刻んだ俳人、そして鋭い批評眼を持つ俳論家でした。本名・藤村昌。国文学者藤村作を父に持ち、広島県広島市に生まれました。幼少期は東京で過ごし、東京帝国大学文学部へ進学しますが、中退しています。

波乱の青春時代と俳句との出会い

学生時代には日本共産党に入党、地下活動にも身を投じます。しかし、熱海事件に巻き込まれ、逃亡生活を余儀なくされました。その後転向し、召集、昭和鉱業勤務を経て、結核を発病。逗子湘南サナトリウムに入院します。療養生活の中で、山田雨雷を講師に迎えた句会に参加し、俳句の世界に足を踏み入れました。

「寒雷」に入会、師事、そして戦後

1943年、加藤楸邨を師として俳句結社「寒雷」に入会。その後、清瀬市の国立療養所へ転院、石田波郷と同室となります。この経験は、彼の俳句観に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。戦後は日本共産党に復党。新俳句人連盟に参加し、1947年には『草田男の犬』を発表、大きな論争を巻き起こします。

多方面での活動と晩年

古沢太穂とともに俳句雑誌『沙羅』を創刊、のち「道標」に所属。「馬酔木」には『戦後俳句論争史』を執筆するなど、現代俳句協会幹事として、多方面で精力的に活動しました。しかし、生涯にわたる病苦は彼の創作活動にも影を落としました。数々の著作を残し、後進の指導にもあたった赤城さかえは、1967年5月16日、58歳の生涯を閉じました。多磨霊園に眠ります。

人物像と家族

姉は童謡『こいのぼり』、『チューリップ』などの作詞家として知られる近藤宮子です。赤城さかえの門下には、俳人の望月たけしがいます。

主な著作

赤城さかえの著作には、句集『淺蜊の唄』、俳句論争史をまとめた『戦後俳句論争史』、そして全集などがあります。これらの著作は、彼の俳句観、そして戦後の俳句界の動向を知る上で貴重な資料となっています。彼の作品や論考は、現代俳句を理解する上で欠かせないものと言えるでしょう。

参考文献

古沢太穂・石塚真樹監修『赤城さかえ全集』（1988年 青磁社）
藤田湘子監修『赤城さかえ』（1994年 花神社）
* 日野百草著『評伝 赤城さかえ　楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』（2021年 コールサック社）

まとめ

赤城さかえは、激動の時代を生き抜き、病と闘いながら、俳人、俳論家として多大な功績を残しました。彼の生涯と作品は、現代俳句史において重要な位置を占めており、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。 彼の活動は、単なる俳句の枠を超え、時代の変化や社会問題への鋭い洞察を示しており、その複雑で多面的な人間像は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

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