趙俶

趙俶（ちょう しゅく）は、元末から明初にかけての時代を生きた儒学者、そして教育者として知られています。彼の字は本初であり、本貫は紹興府山陰県にありました。生没年は明確には分かっていません。

趙俶は、後至元元年（1335年）に科挙の進士に合格し、その学識の高さを示しました。その後、明の洪武6年（1373年）には、その才能が認められ、国子博士という重要な役職に召し出されました。国子博士は、当時の最高学府であった国子監において、学生たちを教育・指導する役割を担っていました。

洪武帝は、学問の純粋性を重視し、国子監での教育方針を統一することを強く望んでいました。そのため、趙俶や国子助教の銭宰、貝瓊らを奉天殿に召し出し、孔子の定めた経書（儒教の基本的な書物）のみを教育するように命じました。特に、蘇秦や張儀のような縦横家の説は、学問の純粋性を損なうものとして排除されました。趙俶は、この方針に従い、十三経を定め、天下に頒布しました。さらに、『戦国策』や陰陽讖緯といった、当時の学問とは異なる分野の書物を、学宮（学校）に陳列しないよう求め、学問の純粋性を守ろうとしました。

洪武7年（1374年）には、洪武帝は諸生（学生）の中から特に優秀な35人を選抜し、趙俶に彼らを統括し、古典籍を教えるように命じました。この時、李拡や黄義といった者が抜擢され、文華殿・武英殿という重要な場所で書を解説する役目を担いました。このように、趙俶は教育者としてだけでなく、人材育成にも大きく貢献しました。

洪武9年（1376年）、趙俶は長年の貢献を終え、引退を願い出ました。その結果、彼は翰林院待制として致仕（官職を退いて隠居すること）しました。彼の享年は81歳であったと伝えられています。

趙俶の子である趙圭玉は、兵部侍郎や萊州知州といった重要な官職を歴任しました。このように、趙俶の家系は、彼の学識を受け継ぎ、後世にも影響を与えました。

趙俶の生涯は、『明史』巻137 列伝第25に詳しく記されており、彼の業績と功績は、後世に語り継がれています。彼の学問に対する情熱と、教育者としての貢献は、歴史の中で重要な位置を占めています。

趙俶は、単なる学者としてだけでなく、学問の純粋性を守り、次世代の教育に尽力した人物として、その名を歴史に刻んでいます。彼の生涯は、学問に対する真摯な姿勢と、教育を通じた社会貢献の重要性を示すものとして、現代にも通じる教訓を与えてくれます。

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