趙忠

趙忠の生涯

趙忠（ちょう ちゅう）は、中国の後漢末期に活躍した宦官で、安平郡（現在の中国河北省）出身であった。彼は、霊帝時代に特に権力を持ち、霊帝に「我が母」という称号で特別に寵愛されたことで知られている。趙忠の家族には弟の趙延や従兄弟の趙苞が存在し、この一族は宦官としての地位を築き上げていた。

初期の活動

趙忠は若い頃、張譲と共に給事中（宮中の雑務を担当する職）として仕官した。彼は桓帝の時代に小黄門に任命され、徐々に昇進していった。宦官の仲間が成功を収めて名声を博す中、趙忠もまた桓帝の信任を受けて都郷侯に封ぜられ、さらに中常侍に任命される。その後、父の葬儀にあたって過度に豪華な装飾を施したため、冀州刺史の朱穆に厳しく咎められた。しかし、趙忠は桓帝に讒言して朱穆を免職させ、自らの名誉を回復した。

権力の確立と政争

霊帝の時代、趙忠は曹節、王甫、侯覧と共に権力を振るい、宦官の影響力が増していった。172年には、かつての宦官の連座である竇武の影響で、趙忠は幽閉されていた竇太后の葬儀を議論する会合の議長を務めた。この時に、彼は宦官に対抗しようとする人々との間に激しい論戦を展開した。結局、霊帝は宦官の意見を重視し、趙忠の議論を退けた。その後、趙忠は野にいる袁紹の動きを警戒し、他の宦官に対して注意を促すこととなった。

十常侍と黄巾の乱

181年、曹節が亡くなると、趙忠は大長秋に就任する。この時、趙忠と他の11名の宦官は中常侍に任命され、実質的に十常侍という権力グループを形成した。この一団は各地で地方官のポジションを占有し、自らの利益を追求していった。184年に黄巾の乱が発生すると、郎中の張鈞が趙忠たちの行いが乱の原因であると弾劾したが、趙忠は逆に霊帝にお伺いを立てて官職に復帰し、張鈞を逮捕させた。

趙忠は自身の権力強化を図る一方で、他の宦官に対する反発の中、同じく権力を持つ皇甫嵩との対立もあった。皇甫が趙忠の豪華な邸宅を没収したり、賄賂を拒絶したため、趙忠は彼を貶める訴えを霊帝に行った。これにより、趙忠は一時的に権力を維持するが、彼の行動は多くの恨みを買う原因となった。

最後の運命

189年、霊帝が崩御し、劉弁が即位すると、趙忠は新たな権力の流入に脅かされることになる。外戚の何氏と董氏の争いに巻き込まれた際、趙忠は董氏派の蹇碩から何進の誅殺を命じられるが、最終的に彼は寝返って何進側につく。これにより、趙忠は一時的に権力を掌握するが、やがて袁紹や同志たちによる反攻に遭い、彼と多くの宦官は命を落とす結果となった。

後に、趙忠の邸宅は袁紹に譲られ、彼の名は歴史の中に一つの影として残ることになった。

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