日野栄子

日野栄子（ひの えいし、えいこ、明徳元年/元中7年（1390年） - 永享3年7月27日（1431年9月3日））は、室町時代中期に生きた女性であり、室町幕府第4代将軍・足利義持の正室、そして第5代将軍・足利義量の生母として知られています。

生涯

栄子は、権大納言・日野資康の娘として生まれ、大納言・日野重光の妹にあたります。彼女の家系は、兄に烏丸豊光、姉に第3代将軍・足利義満の正室となった日野康子、叔母に日野業子がいるという、名門の日野家の一員でした。足利義持の正室として嫁いだ栄子は、応永14年（1407年）に義量を出産しました。

義持との夫婦仲は良好であり、義持が奈良や伊勢へ参詣する際にはしばしば同伴しました。栄子自身も神仏への信仰心が篤く、伊勢神宮や熊野詣に何度も足を運んでいます。また、義持と同じく田楽を好むなど、趣味を通じた交流もありました。

義持の晩年には、栄子は「大方殿」と呼ばれるようになります。応永32年（1425年）に義量が19歳で早世し、さらに義持も応永35年（1428年）に43歳で死去するという不幸が続きます。義持の死後、栄子はただちに常徳院海門和尚を戒師として落髪し、慈受院と号しました。同日には従一位に叙せられています。その後、第6代将軍となる足利義教の婚儀において、正室に重光の娘・日野宗子が選ばれますが、宗子はこれを拒んだと伝えられています。そこで、栄子が宗子を説得し、嫁がせたといいます。

永享3年（1431年）7月27日、栄子は42歳で生涯を閉じました。戒名は竹庭大禅定尼浄賢。

興味深いことに、将軍・義教が栄子の死に対して何らかの行動を起こしたという記録は残っていません。

義持との間には、義量の他に2人ずつの男女がいたとされています。男子の名は不明ですが、女子は大聖寺慈敬、喝食御所と呼ばれていました。しかし、男子は早世し、女子がその後どうなったのかは明らかになっていません。

参考文献

* 伊藤喜良『足利義持』吉川弘文館〈人物叢書〉、2008年。ISBN 978-4-642-05246-7。

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