蹴返し

蹴返し（けかえし）

蹴返しとは、相撲の決まり手の一つです。

概要

土俵上の攻防において、相手の足を蹴り（または払い）倒す技を指します。通常は、自分の右足で相手の右足を、または自分の左足で相手の左足を狙います。必ずしも手繰る必要はなく、蹴っただけで相手が倒れた場合も、決まり手として認められます。

立合いの際にこの技を繰り出し、相手を倒した場合は、蹴手繰りとなります。

蹴返しの本質は、柔道の出足払いに近く、小内刈のように内側から掛けるイメージです。土踏まずで掬うように打つのが基本の型とされています。出足払と同様に、相手の踝の辺りを横から払います。切り返し（小外刈）のように横から入れ込んで後ろから刈る場合は、小内刈となります。

昭和末期には、幕内力士であった栃剣が得意技としていました。彼はこの蹴返しで、当時幕内最重量であった小錦から2度白星を挙げています（1985年11月場所、1986年5月場所）。平成期の力士では、元幕内の春日富士や元小結の時天空もこの技を得意としていました。

一方で、元関脇の金城のように、無用な悪癖として蹴返しを多用していた例もあります。

2021年9月場所現在、現役力士では翔猿が蹴返しで白星を挙げることが多く、直近の幕内での蹴返しによる決まり手も、翔猿が琴恵光戦で勝利した取組（2021年7月場所初日）です。

蹴返しの変形とも言える足技として、2014年7月場所6日目の髙安－豊ノ島の取組があります。この取組では、髙安が右足で豊ノ島の左足を狙って勝利しましたが、通常の蹴返しとは逆の形でした。このような足技は、公式な決まり手の82手の中に該当するものがなく、公式発表では足技を無視して「叩き込み」として扱われました。

関連項目

相撲
大相撲の決まり手一覧
* 蹴手繰り

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