輝く都市

輝く都市（かがやくとし La Ville Radieuse）

「輝く都市」とは、モダニズム[[建築]]の巨匠ル・コルビュジエによって提唱された理想的な都市像です。この構想は、彼が考える都市の問題に対する明確な解決策を示しています。20世紀初頭、急激な都市化が進む中で、コルビュジエは人口が集中し、環境が悪化している現代の都市に対する批判を展開しました。彼は、1922年に発表した「300万人の都市」、1925年の「パリのヴォアザン計画」、そして1930年の「輝く都市」において、都市の構造や環境を再考するための理論を提示しました。

1933年、CIAM（近代建築国際会議）で採択された「アテネ憲章」は、彼の思想を具体的に示すものであり、特に「輝く都市」の理念に強く関連しています。この憲章では、都市の機能性を重視し、高層ビルの建設によりオープンスペースを確保すること、そして通行の安全性を考慮して自動車道と歩道を明確に分ける「歩車分離」を提唱しました。これらの考え方は、都市問題の解決を目指す上で非常に重要です。

ル・コルビュジエの提案は、当時のフランスにおいては異端視されることが多く、なかなか広がりを見せませんでした。しかし、彼の考えは時間と共に他の地域へと影響を及ぼし、特に1952年にマルセイユで建設された「ユニテ・ダビタシオン」は、「輝く都市」の理念を実際に具現化したものとされています。この建物は、共同住宅でありながらも、豊かな共同生活を促進するための空間が設計されています。

また、ブラジリアなどの様々な国の都市計画にも強い影響を与えました。彼のビジョンは多くの都市開発設計の礎となり、都市環境の改善に寄与しています。

ル・コルビュジエの著作としては、「輝く都市」が1935年に刊行されており、これは彼の都市像を詳細に綴った大著です。この本は、その内容が豊富な図版と共に、彼の理念を広く知らしめるための重要な資料となっています。日本語訳としては、白石哲雄監訳の『輝ける都市』（河出書房新社、2016年）や、坂倉準三訳の『輝く都市』（丸善、1956年、鹿島出版会「SD選書」、1968年）が存在し、これらの翻訳を通して日本の都市設計にも影響を与えています。

さらに、森ビルの社長である森稔は、邦訳された「輝く都市」に衝撃を受け、その視点がアークヒルズや六本木ヒルズなど、彼が手掛けた都市開発のコンセプトに強く影響を与えたと語っています。これにより、ル・コルビュジエの考えは、現代の都市開発にも息づいていることが理解できます。

関連項目

• - 建築をめざして：ル・コルビュジエの初期著作であり、彼の思考の根本に迫る作品。
• - アテネ憲章：近代建筑の理論的基盤となる文書。
• - 都市美運動：美しい都市の設計を目指す運動。
• - 計画[[都市]]：計画的に設計された都市の概念。

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