輸送機工業

輸送機工業株式会社

輸送機工業株式会社（ゆそうきこうぎょう、英: Yusoki Kogyo Co. LTD）は、愛知県半田市に本社を置く航空機部品メーカーです。SUBARU（旧:富士重工業）の子会社であり、その歴史は1917年（大正6年）に創業した中島飛行機の半田製作所にまで遡ります。かつては自動車部品、鉄道部品、鉄道車両、織機、カートレーラーなど多岐にわたる製品を製造していましたが、2005年（平成17年）にこれらの事業から撤退し、現在は富士重工業向けの航空機部品の製造・販売に専念しています。

概要

輸送機工業は、航空機産業の黎明期から日本の産業を支えてきた企業の一つです。そのルーツは、第一次世界大戦中に設立された中島飛行機にあります。戦後、中島飛行機は富士産業と社名を変更し、輸送機工業はその一部として再出発しました。当初は、戦後の物資不足を背景に、鉄道車両の修理や製造を主力事業としていましたが、時代の変化とともに事業内容を大きく変革させてきました。

沿革

輸送機工業の歴史は、以下の年表で概観できます。

1945年（昭和20年）8月17日 - 中島飛行機から富士産業に社名変更。中島製作所半田製作所を富士産業半田製作所に名称変更。
1950年（昭和25年）7月15日 - 「愛知富士産業株式会社」として設立。
1953年（昭和28年）8月20日 - 「輸送機工業株式会社」に商号を変更。
1961年（昭和36年）10月2日 - 名古屋証券取引所市場第二部に株式を上場。
2001年（平成13年） - ISO 9001認証を取得。
2003年（平成15年） - JIS Q 9100認証を取得。
2003年（平成15年）4月1日 - 富士重工業より車両事業部のカートレーラー事業を譲受。
2004年（平成16年）- ISO 14001認証を取得。
2004年（平成16年）7月28日 - 上場廃止。
2004年（平成16年）8月 - 富士重工業との簡易株式交換により完全子会社となる。
2005年（平成17年） - 航空機部品事業以外の事業から撤退。
2006年（平成18年） - Nadcap認証を取得。

輸送機工業への社名変更

1950年（昭和25年）に愛知富士産業に社名を変更しましたが、同社名では「愛知」が愛知機械工業（旧・愛知[[航空機]]）、「富士」が当時鉄道車両を手掛けていた富士車輌と紛らわしいとの理由から、社名変更が決定されました。将来的な輸送機械事業への進出を視野に入れ、輸送機工業という社名が選ばれました。

歴史

黎明期

終戦後、中島飛行機から富士産業へと社名が変更され、輸送機工業の前身が発足しました。戦後の混乱期、物資不足の中、航空機製造に代わる新たな主力事業を模索する中で、日用品や綿織機の製造（1946年から1952年6月まで）、そして航空機の製造技術を生かした鉄道車両の製造・修理事業に乗り出しました。1946年（昭和21年）4月からは名古屋[[鉄道]]（名鉄）の知多半田駅引き込み線に修理工場を建設し、戦災車両の修理業務を開始しました。名鉄車両の修理実績から、同年秋には運輸省（→日本国有[[鉄道]]）名古屋工機部から戦災車両の修理を受注し、乙川駅引き込み線に車両工場を建設し、修理を行いました。1949年（昭和24年）には、国鉄の新製事業用貨車「ヨ」を受注し、その後、新製冷蔵車「レ」の受注に成功し、国鉄貨車製造メーカーの一員となりました。

海外展開

1953年（昭和28年）には、朝鮮戦争で被災した韓国への援助として、アメリカ軍調達本部（JPA）を通じて客車56両の製造を受注しました。この契約は、当時の輸送機工業の年間売上高を上回る大規模なものでした。その後も、タイ、ビルマ、インド、フィリピン、イランなどへ鉄道車両を輸出しましたが、1958年（昭和33年）にイラン向けの郵便荷物車を最後に輸出車両の製造は途絶えました。海外向けには、合計570両の鉄道車両を輸出しました。

バスボディの製造

1949年（昭和24年）9月からはバスボディの製造を開始し、知多乗合バスに納車しました。その後、名古屋市交通局、名古屋[[鉄道]]などからも受注しましたが、競合が激しく、1953年（昭和28年）10月に撤退しました。

昭和30年代以降

1959年（昭和34年）に国鉄が貨車の発注にグループ制度を採用したことに伴い、輸送機工業は日本車輌製造とグループになり、ワム70000形500両の製造を受注しました。このうち180両を輸送機工業が製造し、残りを日本車輌が担当しました。この受注以降、輸送機工業は車両部品の製造にシフトし、国鉄向け完成品車両の製造からは撤退しました。

1972年（昭和47年）、国鉄は貨車製造メーカーを6社体制から3社体制に見直し、輸送機工業は部品製造に専念することとなりました。

鉄道車両以外への進出

1955年（昭和30年）からはトラック及びバス用ディスクホイールの生産を開始しました。また、1963年（昭和38年）には日産ディーゼル工業（現・UDトラックス ）からクレーンキャリアのフレーム生産を受注し、1966年（昭和41年）からはクレーンキャリア全車種の総組立を受注しました。これにより、クレーンキャリアは輸送機工業の主力製品となりました。また、トレーラーの生産も開始され、こちらも主力製品となりました。

1960年（昭和35年）からは集合住宅向け玄関ドアの製造も開始しました。

国鉄向け完成車体

輸送機工業は、日本国有[[鉄道]]（国鉄）向けに以下の車両を完成品として納入しました。合計で1,639両に及びます。

気動車: 10両
キハ45000形
客車: 155両
国鉄60系[[客車]]（鋼体化改造含む）
オハ61形3等客車 - 71両
オハユニ61形3等郵便荷物車 - 10両
スハニ62形3等荷物車 - 10両
オハニ63形3等荷物車 - 5両
スユニ60形郵便荷物車 - 10両
マニ60形荷物客車 - 49両
貨車: 1,474両
有蓋車
国鉄ワム23000形貨車 - 256両
国鉄ワム70000形貨車 - 350両
有蓋緩急車
国鉄ワフ29500形貨車 - 180両
冷蔵車
国鉄レム1形貨車 - 110両
国鉄レ10000形貨車 - 30両
通風車
国鉄ツム1形貨車 - 80両
国鉄ツ4000形貨車 - 50両ほか
無蓋車
国鉄トラ30000形[[貨車]] - 140両
国鉄トラ35000形貨車 - 162両
車掌車
国鉄ヨ3500形[[貨車]] - 73両

その他

1944年（昭和19年）の中島飛行機半田製作所時代から1975年（昭和50年）まで、JR武豊線乙川駅から輸送機工業までの専用線が敷設されていました。

参考文献

輸送機工業株式会社「ユソーキ新しき創造　五十年史」

外部リンク

輸送機工業株式会社
TASC会員輸送機工業(株)

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