辛冉

辛冉の生涯とその影響

辛冉（しん ぜん、? - 305年）は、中国の西晋時代に活動した将軍であり、出自は隴西郡にあると言われています。彼は性格が貪欲かつ乱暴だと評されることもありました。特に、西晋に仕官してからは、揚烈将軍に任じられ、長安を統治していた趙王司馬倫の側近として活動を始めました。

反乱と彼の役割

元康6年（296年）、司馬倫はその政治的権力を使い、関中の混乱を招く結果となり、氐族や羌族の反乱を引き起こしました。この結果、彼はその任を梁王司馬肜に移されることになります。雍州刺史解系と御史中丞解結は、この混乱を収束させるために、司馬倫の側近である孫秀の処罰を提案しましたが、辛冉は孫秀の友人であったため、この提案に異を唱え、司馬肜に対して「孫秀には責任はありません」として許しを請いました。この結果、孫秀は死罪を免れることができました。

益州での活動

永康元年（300年）11月には、益州刺史趙廞が反乱を起こしますが、これが失敗し趙廞は殺されました。続く永康2年（301年）1月、羅尚が後任として益州刺史に任命され、辛冉は広漢郡太守に就任します。当時、益州には多くの流民が避難しており、彼らの首領である李特が趙廞を討伐したことで流民の動向が変わっていきました。

李特は羅尚の到着を聞くと、彼を歓迎するために弟の李驤を派遣し、珍品を貢いで喜ばせました。羅尚はこれに感謝し、李驤を騎督に任命します。しかし、辛冉は李特が流民の盗賊であることに注目し、「急いでしないと手遅れになる」と進言しましたが、羅尚には響きませんでした。

辛冉は流民たちの活躍を無視し、自らの出世を優先させたことで、多くの流民たちとの間に恨みを生む結果となりました。彼はさらに李特を排除する意図を隠す必要があり、流民に対する厳しい行動を考え始めます。

流民との対立と最期

その後、流民の首領李特が反抗して立ち上がると、辛冉は彼を排除するために計画を練りますが、李特は彼の動きを察知し、辛冉に対抗する構えを見せました。さらに、李特が軍を二つに分けて準備を進めた周辺で、辛冉は遂に動き出し、李特の陣営を攻撃する作戦を実施しました。この攻撃は成功を収めたものの、辛冉はその後も連敗を重ね、ついには全ての責任を綿竹県の県令岐苞に押し付けて逃亡しました。

辛冉は後に荊州刺史劉弘のもとに身を寄せることになりますが、永興2年（305年）に自立を促すも、劉弘によって斬殺されるという悲劇的な結末を迎えました。辛冉は騒乱の中で自分の立場を維持しようとしたが、それが最終的には破滅に繋がることとなったのです。彼の故事は人間の欲望や権力争いが招く悲劇を象徴しています。

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