趙廞

趙廞の生涯と影響

趙廞（ちょう きん、? - 301年）は、中国の西晋時代に生きた政治家および武将である。字は和叔で、元々は巴西郡安漢県（現在の四川省南充市順慶区）に本貫を置いていたが、河北省の趙の地が出身地である。彼は成都において自立政権を樹立し、益州動乱の引き金を引いた重要な人物とされている。

政治家としての趙廞

趙廞の家系は、元々張魯に仕えていたが、時代の流れと共に家を趙の地に移したとされている。彼は早くから朝廷に仕官し、長安県令や天門郡太守、武陵郡太守を歴任し、揚烈将軍に任じられるまでに至った。その才能を趙王司馬倫から評価されたことが記録されている。特に武陵郡太守の時代には、後に良吏として名を馳せる潘京を見出し、彼を抜擢するなどの手腕を見せた。

元康6年（296年）には益州刺史・折衝将軍に任命され、雍州での氐・羌の大規模な反乱が発生していた際には、益州府を通じて軍を送る準備を整え、さらに成都から食料を徴発して送り届ける決断をした。元康8年（298年）には、正式に州府である成都太城へ赴任した。これにより彼は益州の実権を握り始めることになる。

政権変動と疑念

しかし、永康元年（300年）11月、朝廷からの詔が趙廞に届き、洛陽への召還が告げられ、大長秋への昇進が決まった。この時、洛陽では政変が相次ぎ、賈南風一派が誅殺され、趙王司馬倫が権力を掌握していた。趙廞は賈南風との姻戚関係にあり、彼女の後ろ盾を疑うようになり、召還を自身の命の危険と捉え、動揺した。

そのため、趙廞は自立を決意し、密かに蜀の地を占有しようとの考えを強めていく。益州に流れ込んだ多くの流民に対しても、食糧を振る舞いながらその心を掴むことで、自らの勢力を強固にしようと試みた。人々をまとめる李特・李庠兄弟に対しても支援を惜しまなかったが、それがやがて流民による略奪に繋がり、蜀の民にとっての悩みの種となった。

耿滕の暗殺

こうした状況が続く中、耿滕という刺史が益州に赴任することになった。趙廞は彼が自身の政権にとって脅威となることを懸念し、耿滕の入城を阻止するために策を巡らせた。耿滕を攻撃するために派遣された部下たちは彼を破り、最終的に耿滕は命を落とす運命を辿った。この事件は、趙廞がより強固な権力を求めて暴走するきっかけとなった。

自立とさらなる反乱

その後、趙廞は自らを大都督、大将軍、益州牧と名乗り、明確に独立した政権の確立を目指す。彼の側には流民を率いる李庠も付き従い、彼自身も権力を確立する上で重要な役割を果たした。しかし、李庠の台頭を脅威と感じた趙廞は、次第に彼に不安を抱くようになる。結果、李庠及びその家族が趙廞の手によって処刑されることになった。

最期の運命

趙廞の権力は次第に衰退していき、彼自身は多くの者からの裏切りに遭うこととなる。最終的に趙廞は成都を放棄し、逃走を試みるも、従者によって命を落とす。このように、趙廞は一時の栄華を極めながらも、最後には滅亡する悲劇の人生を歩んだ。また、彼の子供たちも同様に不幸な運命を辿ったとされ、趙廞の名は歴史に刻まれることとなる。

総括

趙廞はその生涯において、豪奢な性格を持ちながらも、政治に対しては才覚を有していた。しかし、彼自身の過信や周囲の信頼を失うことで、最期には悲劇に見舞われることとなった。

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