辰

十二支の辰：龍の年とその象徴世界

十二支の5番目である辰(たつ、しん)は、西暦年を12で割った余りが8となる年に巡ってきます。日本では新暦1月1日、中国では旧暦1月1日から始まる年を指します。辰年は、別名『執徐』とも呼ばれます。

辰は、旧暦3月(概ね新暦4月)を辰の月、午前8時を中心とした約2時間を辰の刻と呼びます。方角では、北基準右回り120度、つまり東南東よりやや南の方角を示します。

辰の五行については諸説あります。古くからの文献では、春季に属することから木気に分類される一方、後世の考察では土気に属するという説も存在します。明確な根拠は今のところ確認されていません。

陰陽では陽に分類され、蔵干は本気戊、中気癸、余気乙となります。興味深いことに、現代の暦では辰年は閏年であることが多いです。例外的に閏年でない辰年は、干支が庚辰となり、前回の発生は1700[[年]]、次回は2300年と、かなり稀な現象です。

辰の反対側は[戌]です。

辰の伝承と象徴

『漢書』律暦志によると、辰は「振」（しん）と表記され、「ふるう」「ととのう」という意味を持ち、草木の成長が整った状態を表していると言われています。

後世、記憶しやすいように、神話上の動物である龍が辰の象徴として用いられるようになりました。しかし、この象徴は地域によって異なり、東南アジアではナーガ、ペルシャではクジラや大海蛇、グルン族では鷲、トルコでは魚やワニなど、様々な動物が辰の象徴として用いられています。アンタレスという星を象徴すると解釈されることもあります。

相場の世界では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」という格言があり、辰年は上昇相場と俗に言われています。

辰を含む干支

辰を含む干支は、戊辰、庚辰、壬辰、甲辰、丙辰の5種類です。西暦年の1の位がそれぞれ8, 0, 2, 4, 6の年に該当します。

文化における辰

文化大革命の時期には、ジャイアントパンダを十二支にしようという動きがあり、南京町が中国に発注した十二支像に、亥(猪)の代わりにパンダ像が届いたという逸話も残っています。これは、発注の手違いによるものだと考えられています。

辰のその他の側面

宮崎県北方町では、干支の辰が住所表記や番地符号として実際に使用されているという興味深い事例もあります。

このように、辰は暦の上での位置付けだけでなく、様々な文化や伝承、そして象徴性を通して、私たちの世界観に深く関わっていることがわかります。

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