未

未（ひつじ）の解説：十二支における位置づけと文化的背景

十二支の8番目として数えられる『未（み）』。日本では「羊」の字で表されますが、その意味や由来は、現代の認識とは異なる複雑な歴史的背景を持っています。本稿では、未の持つ多様な側面を紐解き、その文化的意義を明らかにします。

未年の特徴と暦

西暦年を12で割り、余りが11の年が未年となります。日本では新暦1月1日、中国では旧暦1月1日を年の始まりとするため、日付にずれが生じます。未年は別名「協洽」とも呼ばれます。

暦の上では、旧暦6月（概ね新暦7月）を未の月、午後2時を中心とする約2時間を未の刻と呼びます。方角では、北基準右廻り210°、南西よりやや南の方角を示します。

未の五行と性質

未の五行については諸説あります。古来の文献では、夏季に属することから火性とされ、土用時には土性が強まるとされています。一方、近世の解釈では土性に属するとする説も存在しますが、明確な根拠は示されていません。

六星占術では、丑と未はそれぞれ「子丑天中殺」「午未天中殺」として特殊な扱いをされます。子丑天中殺では丑の五行を水性、午未天中殺では未の五行を火性とみなすことで、それぞれの性質を占星術的に解釈します。

蔵干では、本気（ほんき）が己（つちのと）、中気（ちゅうき）が乙（きのと）、余気（よき）が丁（ひのえ）となります。陰陽は陰です。

未の語源と伝承

『漢書』律暦志によると、未は「昧（まい）」で、植物が生い茂り暗くなった状態を表すと言われています。『説文解字』では「味（み）」で、果実が熟して甘みが増した状態を指すと解釈されています。

後世になって覚えやすくするため、動物の「羊」が割り当てられました。現代日本では「羊」はヒツジを意味しますが、中国ではヤギやガゼルなども含みます。ヒツジを限定する場合は「綿羊」と表記します。古代中国ではヒツジは一般的ではなかったため、ヤギが用いられることが多かったようです。

日本においても、ヒツジやヤギは明治時代まで一般的ではありませんでした。そのため、未は半ば想像上の動物として認識されていた側面もあります。

未年と相場格言

日本の相場格言に「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」というものがあります。この格言から、未年は相場が低迷し、辛抱を要する年とされています。

未を含む干支

未を含む干支は、辛未、癸未、乙未、丁未、己未などがあります。それぞれの干支には、固有の性質や意味合いが込められています。

まとめ

未は、暦や方角、五行、相場格言など、多様な側面から捉えることができる十二支の一つです。その歴史的背景や文化的意義を理解することで、未という概念への理解がより深まるでしょう。 未という文字が持つ意味、その象徴としての羊、そしてそれを取り巻く様々な解釈は、私たちに奥深い歴史と文化の知見を与えてくれます。今後、未に関する研究がさらに進展し、新たな解釈が生まれることを期待したいです。

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