亥

亥（イノシシ）のすべて

十二支の最後を飾る亥。一般的にはイノシシを象徴するこの干支は、西暦年を12で割って3余る年に巡ってきます。日本では新暦1月1日から始まる年ですが、中国では旧暦1月1日から始まるため、若干のずれが生じます。亥の年は、中国では『大淵献』という別名でも知られています。

亥の様々な側面

亥は、時間、方角、そして自然界における要素と深く結びついています。

亥の月: 旧暦10月（新暦では概ね11月）にあたります。晩秋の風情が漂い、一年を締めくくる準備が始まる季節です。
亥の刻: 午後10時を中心とする約2時間です。静寂に包まれ、夜が深まる時間帯です。
亥の方角: 北西よりやや北寄りの方角（北西微北：北基準右廻り330°）です。
五行: 水の気を象徴します。水は生命の源であり、流れ続けることで変化をもたらす力を持っています。
陰陽: 陰の属性を持ちます。静寂や内省といった陰のエネルギーが強く作用する時期と言えるでしょう。

亥の由来と伝承

『漢書』律暦志によると、亥は「閡」（がい）という字で表され、「閉ざす」という意味を持っていました。これは、草木の生命力が種の中に閉じ込められ、冬を越す状態を象徴していると考えられています。後世になって、覚えやすくするために「猪」の字が当てられるようになり、それがイノシシを意味するようになりました。

興味深いのは、中国では「猪」の字が豚を意味することです。「豚」の字は子豚を意味します。日本ではイノシシを指しますが、中国とでは意味合いが異なるため、亥が豚からイノシシになったのは、伝来時の誤訳が定着したためだと考えられています。

亥と関連する言葉や格言

相場の世界では、亥に関する興味深い格言があります。「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」。これは、それぞれの干支の時期における相場の動向を示唆したものです。亥の時期は、相場が落ち着き、固まる時期とされています。

亥を含む干支

亥を含む干支は、乙亥、丁亥、己亥、辛亥、癸亥の5つです。それぞれの干支は、異なる性質と特徴を持ち、個々の干支の持つ意味と組み合わせることで、より深い解釈が可能です。

亥にまつわる文化

亥は、単なる干支としてだけでなく、様々な文化の中に息づいています。

亥年選挙: 亥の年に実施される選挙は、何かしらの特徴を持つとされている場合もあります。
亥の子: 亥の月に行われる行事や、それにまつわる風習。
亥の子餅: 亥の月に作られる餅の一種。地域によっては独特の形状や製法がある場合があります。
* 住所表記: 一部の地域では、住所表記に干支が使われており、亥が使われるケースもあります。

十二支の亥は、単なる暦の記号ではなく、自然の摂理や、人々の生活、文化と深く関わっていることがわかります。古来より受け継がれてきた亥の持つ意味を理解することで、私たちは自然への理解を深め、より豊かに暮らすことができるでしょう。

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