辻文雄

辻文雄：洋画家から政治家へ転身した異色の生涯

辻文雄（つじ ふみお、1893年7月23日 - 1976年10月27日）は、大正時代から昭和時代にかけて、洋画家として、また政治家として活躍した人物です。彼の足跡は、美術の世界から政界へと広がり、多様な分野でその才能を発揮しました。

生い立ちと画家としての活動

長崎県に生まれた辻文雄は、関西学院を中退後、油絵の道へと進みました。太平洋展、白日展、春陽会などの美術展で入選を果たし、その才能を開花させました。国画会にも所属し、画家としての地位を確立します。その後、東工業図案部の主任として、美術の専門知識を活かした活動を行いました。

社会活動と政治家への道

辻文雄は、佐世保市において福祉委員、旧軍港市転換法促進特別委員会本部参与、佐世保観光協会参与、佐世保駐留軍労働組合顧問など、様々な社会活動にも積極的に参加しました。これらの活動を通じて、地域社会への貢献を目指しました。

1947年、第23回衆議院議員総選挙に長崎県第2区から日本社会党公認で出馬しますが、惜しくも落選。その後も、1948年の第1回参議院議員通常選挙・長崎県地方区補欠選挙、1949年の第24回衆議院議員総選挙に立候補しますが、いずれも落選という結果に終わります。

しかし、1952年の第25回衆議院議員総選挙で、右派社会党公認で出馬し、ついに初当選を果たします。続く第26回衆議院議員総選挙でも再選され、衆議院議員として連続2期在任しました。社会党佐世保支部長、同党長崎県連会長、同九州協議会副会長、同水産政策委員長などを歴任し、党内でも重要な役割を担いました。

その後の活動

衆議院議員を退いた後も、辻文雄は政治活動への関与を続けました。第27回、第28回衆議院議員総選挙に連続して立候補しましたが、残念ながら議席を得ることはできませんでした。その後、民社党長崎県連顧問を務め、後進の育成に尽力しました。

まとめ

辻文雄は、洋画家としてその才能を開花させながら、政治家としても社会に貢献した人物です。美術の世界で培った感性と、社会に対する深い理解を基に、多岐にわたる分野で活躍しました。彼の生涯は、多様な才能を持つ人物が、それぞれの分野でどのように貢献できるかを示す好例と言えるでしょう。

参考文献

衆議院事務局編『衆議院議員総選挙一覧 第23回』衆議院事務局、1948年。
『現代人名情報事典』平凡社、1987年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』日外アソシエーツ、2003年。
* 『国政選挙総覧 1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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