近衛基嗣

近衛基嗣（このえ もとつぐ）について

近衛基嗣は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての公卿であり、左大臣の近衛経平の子として知られています。彼は従一位・関白の官位を持ち、時代の変革期において重要な役割を果たしました。

経歴

近衛家は当時、経平の代で分裂しており、基嗣はその嫡流の地位を求めて、従兄の経忠と対立しました。経忠が先に出世し、元徳2年（1330年）には後醍醐天皇のもとで関白に任官されましたが、これは短期間で終わりました。その後、基嗣は光厳天皇の時代に左大臣となりましたが、正慶2年（1333年）には鎌倉幕府の滅亡と共に解任されることとなります。

建武政権において、経忠が政権に登用されたものの、政権崩壊後には光明天皇のもとで再び関白に就任しました。しかし、後醍醐天皇が吉野に脱出して南朝を打ち立てると、京の朝廷は経忠を解任しました。そのため、基嗣が新たな関白に任じられることとなりました。基嗣は室町幕府の成立に際し、関白としてその中心的な役割を果たし、辞官後も内覧として政務に参与しました。

経忠の一家は南朝の衰退とともに没落し、基嗣の子孫が近衛家の嫡流として継承されることとなります。

官職歴

基嗣は多くの官職を歴任しました。以下はその一部です：

• - 正和4年8月20日（1315年） - 正和5年正月13日（1316年）：右近衛少将
• - 正和5年正月13日（1316年） - 文保元年3月27日（1317年）：近江介
• - 文保元年3月27日（1317年） - Not Specified：近江権守
• - 元応元年6月14日（1319年） - 元応2年3月24日（1320年）：権中納言
• - 元応2年3月24日（1320年） - 嘉暦元年11月1日（1326年）：権大納言
• - 嘉暦元年11月1日（1326年） - 元徳2年2月26日（1330年）：内大臣
• - 元徳3年2月1日（1331年） - 正慶2年5月17日（1333年）：左大臣
• - 建武4年4月16日（1337年） - 建武5年5月19日（1338年）：関白（光明天皇）

系譜

基嗣の家族についても注目に値します。彼の父は近衛経平（1287年 - 1318年）、母は兵部卿で藤原公頼の娘でした。基嗣は後醍醐天皇の皇女と結婚し、また藤井嗣実の娘も妻に迎えました。彼の子供には近衛道嗣（1333年 - 1387年）がいます。

位階歴

基嗣の位階も重要です。彼は以下のように昇進しました：

• - 正和4年8月17日（1315年）：従五位上
• - 正和5年10月4日（1316年）：従三位
• - 文保2年正月5日（1318年）：正三位
• - 嘉暦2年3月24日（1327年）：正二位
• - 建武5年正月5日（1338年）：従一位

近衛基嗣は、彼の時代の政治的変革に大きな影響を与えた公卿として記憶されています。彼の活動は、日本の歴史における重要な出来事の一端を形成しており、近衛家の後の繁栄にもつながりました。

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