逃亡者 (1963年のテレビドラマ)

逃亡者 (The Fugitive)

1963年から1967年にかけてアメリカABCで放送されたテレビドラマ『逃亡者』は、そのスリリングな展開と主人公の葛藤を描き、高視聴率を記録しました。全4シーズン、計120話で構成され、最終シーズンはカラー作品として制作されました。日本では、TBS系列で放送され、社会現象を巻き起こすほどの人気を博しました。

あらすじ

物語は、インディアナ州に住む小児科医リチャード・キンブルが、妻殺しの容疑で逮捕されるところから始まります。彼は、事件直前に片腕の男が自宅から逃走するのを目撃しますが、警察はキンブルを犯人と断定し、死刑判決を下します。護送中に列車事故が発生した混乱に乗じて逃亡したキンブルは、真犯人を探し出すため、名前を変えながら全米を旅します。

キンブルは逃亡者として、様々な困難に直面しますが、医師としての正義感や人道的な心から、困っている人を助けずにはいられません。しかし、その行動が逆にトラブルを招くこともあります。一方、キンブルを執拗に追うのが、ジェラード警部です。彼は、キンブルを妻殺しの犯人だと信じて疑いませんが、物語が進むにつれて、キンブルの無実を疑い始めます。

物語の展開

物語は、キンブルが各地で遭遇する様々な人々との出会いを軸に展開します。彼は、偽りの罪を着せられた逃亡者でありながら、常に正義を貫こうとします。その一方で、彼の逃亡生活は、常に警察の追跡にさらされ、一瞬の油断も許されません。また、物語の鍵を握るのが、片腕の男の存在です。彼は、キンブルの妻殺しの真犯人である可能性が高く、キンブルの捜索の重要なターゲットとなります。

最終話

最終話は、前後編で構成され、キンブルが逃亡生活を始めてから4年後の物語です。ロサンゼルスで片腕の男が逮捕されますが、何者かによって保釈されます。キンブルはロスへ向かいますが、そこでジェラード警部に逮捕されてしまいます。しかし、ジェラードはキンブルに24時間の猶予を与え、真犯人を見つけ出す機会を与えます。故郷で片腕の男との対決に挑み、物語はクライマックスを迎えます。果たして、キンブルは真犯人を突き止め、無実を証明することができるのか。視聴者は最後まで目が離せない展開に釘付けになります。

社会現象

アメリカでは、最終回の視聴率が50％、占有率72％という驚異的な記録を樹立し、社会現象となりました。日本では、放送時間帯になると銭湯が空になったり、町から人が消えたりするなどの逸話が残っています。また、本作はTBSの土曜20時枠のスポンサーとしてライオン油脂・ライオン歯磨が参入し、現在に至るまで長きにわたって筆頭スポンサーを続けています。

キャスト

リチャード・キンブル：デビッド・ジャンセン (声: 睦五郎)
フィリップ・ジェラード警部：バリー・モース (声: 加藤精三)
片腕の男フレッド・ジョンソン：ビル・ライシェ (声: 池田忠夫)
ナレーター：ウィリアム・コンラッド (声: 矢島正明)

スタッフ

企画：ロイ・ハギンズ
製作総指揮：クイン・マーチン
音楽：ピート・ルゴロ

制作

クイン・マーチン・プロダクション、ユナイテッド・アーティスツ・テレビジョン

日本語版スタッフ

翻訳：額田やえ子
演出：山香武
スタジオ：TBS映画社

放送

1964年5月16日-1967年9月2日、毎週土曜20:00-20:55、TBS系列

関連作品

『逃亡者』は、多くのリメイク作品を生み出しました。

1993年の映画『逃亡者』 (主演：ハリソン・フォード)
1998年の映画『追跡者』
2000年 - 2001年のテレビドラマ『新・逃亡者』
2004年のテレビドラマ『逃亡者 RUNAWAY』(主演：江口洋介)
* 2020年のテレビドラマ『逃亡者』

これらの作品は、オリジナル版の魅力を引き継ぎつつ、新たな解釈や設定を加えて、多くのファンを魅了しました。

サム・シェパード事件

『逃亡者』は、1954年に起きた「サム・シェパード事件」がヒントになっています。医師のサム・シェパードが妻殺しの容疑で逮捕された事件で、後に無罪となったものの、その後の人生は悲劇的なものでした。この事件は、冤罪の恐ろしさや、マスコミ報道のあり方など、多くの問題提起をしました。

まとめ

『逃亡者』は、スリリングな展開、魅力的なキャラクター、そして冤罪という社会問題を扱った、エンターテイメント性と社会性を兼ね備えた傑作ドラマです。今もなお、多くのファンに愛され続けています。

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