通幻寂霊

通幻寂霊（つうげん じゃくれい）

通幻寂霊（1322年 - 1391年）は、南北朝時代に活躍した曹洞宗の僧侶です。俗姓は藤原氏、諱は寂霊、道号は通幻と称しました。

生涯

出自については諸説あり、豊後国國東郷武蔵郷（現在の大分県国東市）とする説や、因幡国岩井郡とする説があります。17歳で豊後国大光寺にて出家し、翌年には大宰府戒壇院で受戒しました。その後、1340年に加賀国大乗寺の明峰素哲、1352年には能登国總持寺の峨山韶碩に師事し、その法を継承しました。

1368年には總持寺の5世住持となり、1370年には細川頼之の庇護を受けて丹波国に永澤寺を開山しました。後円融天皇の勅命により洞上の僧録に任じられ、その後再び總持寺に戻りました。1386年には越前国に龍泉寺を開いています。

通幻寂霊の門下からは、「通幻十哲」と呼ばれる傑出した禅僧たちが数多く輩出されました。また、梅山聞本の法を嗣いだ傑堂能勝も、通幻寂霊に師事した時期があります。

伝承

通幻寂霊には、民話「子育て幽霊」に登場する幽霊に育てられた赤ん坊がその前身であるという伝承も存在します。

通幻寂霊の指導は非常に厳格であり、「活埋杭」と呼ばれる、悟りを開かない僧侶を生きたまま埋めるという行為も時には行われたと伝えられています。しかし、その厳しい指導によって多くの僧侶が悟りを開き、仏道を体得したため、通玄派は曹洞宗の中でも大きな勢力となり、仏道の流布と宗門の発展に大きく貢献しました。

通幻十哲

通幻寂霊の門下から輩出された特に優れた十人の禅僧は、「通幻十哲」と呼ばれています。

了庵慧明：総持寺16世、最乗寺開山、永澤寺2世、総寧寺各2世
石屋真梁：総持寺20世、妙円寺・福昌寺・大寧寺・西来寺各開山、永澤寺3世
一径永就：永澤寺4世、景福寺各開山
普済善救：総持寺12世、禅林寺開山、永澤寺5世、永光寺29世
不見明見：総持寺19世、興禅寺・総光寺・海潮寺各開山、永澤寺6世
天真自性：慈眼寺開山、永澤寺7世
天鷹祖祐：正眼寺・雲興寺・洞光寺各開山、永澤寺8世
天徳曇貞：総持寺29世、宗生寺・大光寺・大陽寺各開山、永澤寺9世
量外聖壽：永興寺開山、永澤寺10世
芳庵祖厳：総持寺23世、願成寺開山、永澤寺11世



参考文献

秀恕『日本洞上聯燈録　巻2』鴻盟社、明治18年

外部リンク

CiNii>通幻
太平山龍泉寺
国立国会図書館デジタルコレクション

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