道具屋 (落語)

道具屋（どうぐや）

「道具屋」は古典落語の代表的な演目として広く知られています。この落語は、古くから伝わる小咄を集めて一席のストーリーに仕立てたオムニバス形式で、そのユーモラスな内容が魅力です。

主な演者

道具屋の演目を演じる落語家は様々です。故人としては五代目柳家小さん、林家彦六、四代目春風亭柳好、二代目桂春蝶などが知られています。現役では林家木久扇や十代目柳家小三治、三代目古今亭圓菊、春風亭百栄などがこの演目を得意としています。特に道具屋が初舞台の落語家もいるほど、多くの後輩たちに影響を与えています。

あらすじ

物語は、神田三河町に住む大家・杢兵衛の甥、与太郎が主な舞台です。彼は20歳にもなりますが、遊んでばかりいて仕事をしないため、叔父は心配しています。叔父は与太郎に企業精神を持たせたいと考え、「何か商売を覚えさせてくれ」と言われたことを述べます。与太郎は「何かやる気はないな」と答え、最近ある商売を試してみたと明かします。それは、伝書鳩を購入して訓練したものでしたが、実際には鳥屋に帰ってしまったという失敗談です。

そんな様子を見た叔父は、与太郎に自分の副業について提案します。それは「道具屋」での商売でした。与太郎はすぐに興味を持ちますが、この道具が驚々しいものであることを知りません。道具には火事場で拾った鋸や、壊れた股引、カメラの三脚が含まれており、実際に売れるとは思えない状態でした。

商売の始まり

与太郎は告げられた場所へ向かい、露天商が並ぶその場所で商売を始めます。最初の顧客は大工の棟梁で、ノコギリを見せるように言われます。しかし、棟梁は与太郎の説明を聞いて混乱し、「火事場で拾った」との内輪の話を知ってしまい、失望して帰ってしまいます。

続いて現れるのは車屋で、股引を「タコ」と呼ぶものの、与太郎の説明に驚きます。すぐに断る羽目になり、次の客には中年の紳士が現れますが、三脚が二本しかないことを指摘され、木刀の存在までバレてしまいます。

最後に現れたご隠居は、笛を手に取りながら掃除をしようとしますが、逆に指が抜けなくなり騒動に。結局、高額な値段をつけることで商売に繋げるものの、取引は難航します。

まとめ

道具屋の演目は、商売の失敗談や顧客とのやり取りから生まれる笑いが特徴的で、観客を引き込む魅力があります。また、演目の自由度が高いため、さまざまなバリエーションが存在し、寄席での時間調整にも便利です。初代三遊亭圓朝の速記が残っていることからも、長い歴史を持つこの演目は多くの人々に愛され続けています。

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