道塚駅

道塚駅：短い歴史を刻んだ東急目蒲線の駅

道塚駅は、かつて東急目蒲線（現在の東急多摩川線）沿いに存在した駅です。現在の東京都大田区に位置していましたが、1946年に廃止されています。短いながらも、その歴史は地域の変遷を反映しており、興味深い存在です。

開業から廃止まで

道塚駅は、1925年10月12日に「本門寺道駅」として仮設駅として開業しました。正式開業は翌年の1926年7月1日です。駅名は、最寄りの池上本門寺の参道に由来しています。その後、1936年1月1日に「道塚駅」へと改称されました。

しかし、1945年4月、第二次世界大戦中の空襲により、蒲田駅周辺は壊滅的な被害を受けました。蒲田駅自体も大きな損害を受けました。従来、蒲田駅は池上線と目蒲線で別々の場所にあったのですが、池上線の駅に乗り入れる新線が建設されることとなり、運行再開が決まりました。その結果、道塚駅を含む旧目蒲線の一部区間は廃止されることになったのです。道塚駅は1945年6月1日に休止され、翌年の1946年5月31日に正式に廃止となりました。

駅の構造と周辺環境

道塚駅は地上駅で、相対式ホーム2面2線を有するシンプルな構造でした。駅舎は上り線の東側に位置し、池上本門寺の参道に面していました。静かな住宅街にひっそりと佇む、小さな駅だったことが想像できます。

現在の跡地と旧線の痕跡

道塚駅跡地は、現在では住宅地となっている可能性が高いです。しかし、矢口渡駅寄り、カーブする地点から数百メートルにわたって、旧線に沿った細い道路が残されていると言われています。この道路は、かつて道塚駅に通じていた目蒲線の面影を今に伝えています。線路が走っていた名残を感じさせる貴重な場所と言えるでしょう。

まとめ：地域の変遷を語る小さな駅

道塚駅は、わずか20年ほどの短い歴史しか持ちませんでしたが、その存在は、戦災による都市の変貌や交通網の変化を物語る重要な証です。駅跡地や旧線の痕跡は、地域の記憶を繋ぐ貴重な存在であり、歴史を学ぶ上で重要な場所となっています。 現在では、静かな住宅街の中に、その面影を僅かに残しているのみですが、その存在を知ることで、当時の様子を想像し、地域の変遷をより深く理解することができるでしょう。 資料が限られているため、詳細な情報が不足している部分もありますが、残された記録から、道塚駅の短いながらも重要な歴史の一端を垣間見ることができました。

参考文献

宮田道一『東急の駅 今昔・昭和の面影』JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉、2008年8月。ISBN 978-4-533-07166-9。

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