道奥菊多国造

道奥菊多国造（みちのおくのきくたのくにのみやつこ）について

概要

道奥菊多国造は、古代日本の地方行政単位である国造の一つで、菊多国を支配したとされる豪族です。その領域は、現在の福島県いわき市南部を中心とする地域に相当し、後の菊多郡と重なります。この地は、古代において大和朝廷の勢力が及ぶ北限に近い場所に位置し、蝦夷との境界線としても重要な役割を果たしました。

領域の変遷

菊多国の領域は、後に多珂国の一部となりました。さらに律令制が施行されると、当初は常陸国に編入されましたが、その北限は「苦麻（くま）」、現在の熊川とされていました。その後、陸奥国へと編入されるという変遷をたどりました。

このような経緯から、菊多国は、大和朝廷の北進政策において、蝦夷との対峙の最前線となり、勿来関の前身とされる菊多関が設置された地でもあります。

祖先

『先代旧事本紀』の「国造本紀」によれば、道奥菊多国造の祖は、応神天皇の時代に、茨城国造の祖である建許侶命の子、屋主刀禰が国造に任命されたことに始まるとされています。

氏族

道奥菊多国造の氏族は、丈部氏（はせつかべうじ）であり、姓は不明です。貞観12年（870年）には、菊多郡の人々である丈部継麻呂や丈部浜成ら男女21人が、湯坐菊多臣（ゆえきくたのおみ）の姓を賜りました。この一族には、湯坐日理連（ゆえひりのむらじ）や宗何部氏（むなしかべし）などが含まれます。

氏神

道奥菊多国造の氏神は、國魂神社（くにたまじんじゃ）です。この神社は、菊田郡窪田郷（現在の福島県いわき市勿来町窪田馬場72）に鎮座しており、菊多国造によって創祀されたと伝えられています。

関連事項

国造の一覧：道奥菊多国造は、古代日本の地方行政制度における重要な役職でした。
（石城国：浜通り）
菊多関（勿来関）：菊多（菊多郡）- 石城（磐城郡）- 染羽（標葉郡）- 浮田（宇多郡）- 伊久（伊具郡）- 思（志田郡）
（石背国：中通り）
白川関：白河（白河郡）- 石背（岩瀬郡）- 阿尺（安積郡）- 信夫（信夫郡）
南から北への順に、石背国に属した会津郡と石城国に属した行方郡の国造は存在しませんでした。

菊多郡：道奥菊多国造の領域であった地域です。
多珂国：菊多国が後に編入された地域です。
道口岐閉国造：近隣の国造です。
石城国造：隣接する石城国を支配した国造です。


道奥菊多国造は、古代日本の地方史において重要な位置を占める豪族であり、その歴史は、地域の変遷や大和朝廷の北進政策を理解する上で貴重な手がかりとなります。

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