道正邦彦

道正邦彦（どうしょう くにひこ、1919年10月9日 - 2016年10月26日）は、日本の官僚であり、内閣官房副長官（事務担当）や労働事務次官を歴任しました。その生涯は、戦後の日本の労働行政の発展と、社会の安定に大きく貢献したと言えるでしょう。

生い立ちとキャリア

東京府立一中、旧制静岡高校文科乙類を経て、1944年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。1947年に厚生省に入省し、労政局に配属されたのがキャリアの始まりです。

労働省では、労働基準局監督課長、外務省出向（在ドイツ日本国大使館一等書記官）、職業安定局失業保険課長、大臣官房総務課長、統計調査部長、大臣官房長など、多くの要職を歴任しました。1973年には労働省労政局長、1975年には労働事務次官に就任しています。

1976年には、福田赳夫内閣で内閣官房副長官（事務担当）を務め、ダッカ日航機ハイジャック事件や成田闘争といった、当時の日本社会を揺るがす重大な事件や問題の対応にも携わりました。これらの出来事への対応は、彼の行政官としての手腕を示すとともに、その後の社会に対する責任感の形成にも大きな影響を与えたと考えられます。

退官後の活動

1979年以降は、中央職業能力開発協会、雇用促進事業団理事長、財形住宅金融社長、会長（1988年）などを務め、1992年から2010年までは中高年齢者雇用福祉協会の理事、会長として、高齢者の雇用問題にも積極的に関わりました。これらの活動は、彼の官僚としての経験と知識を社会のために活用しようとする姿勢を示しています。

1994年11月3日には、その長年の功績が認められ、勲一等瑞宝章を受章しました。

引退と晩年

2010年2月、みんなの党の江田憲司議員の国会質問で、90歳の元官僚が未だに公益法人の会長を務めていると取り上げられたことをきっかけとして、引退を決意しました。この一件は、彼の責任感の強さを表すエピソードと言えるでしょう。

2016年10月26日、心不全のため死去。享年96歳。叙従三位。

道正邦彦は、戦後の日本の労働行政を支え、社会の発展に尽力した官僚でした。その多岐にわたる活躍は、後世に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

関連事項

* 天下り


この記述は、道正邦彦氏の公的な記録に基づき、客観的な事実を記述するように努めました。

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