遠藤胤城

遠藤胤城（東胤城）の生涯：近江三上藩から華族社会へ

遠藤胤城（とう たねき）は、近江国三上藩の第6代藩主であり、和泉国吉見藩主、そして三上藩遠藤家11代当主として知られる人物です。幕末から明治にかけて激動の時代を生き抜き、藩主としての政治活動、茶人としての教養、華族としての社会的地位を築き上げました。晩年は「十六羅漢」と呼ばれる茶道のグループにも参加し、多方面で活躍しました。

生い立ちと藩主就任

遠藤胤城は、摂津国大坂城玉造口（現在の大阪府大阪市中央区玉造）で誕生しました。弘化2年（1845年）、父の養嗣子であった遠藤胤昌の養嗣子となりますが、胤昌の早世により、安政3年（1856年）には実父である遠藤胤統の嫡孫となりました。同年、将軍徳川家定に拝謁し、従五位下・美濃守に叙任されます。文久3年（1863年）、胤統の隠居に伴い、三上藩の藩主職を継承しました。

幕末の動乱と明治維新

幕末の動乱期において、遠藤胤城は、大坂城青屋口加番や講武所奉行などの要職を務めました。慶応2年（1866年）の第2次長州征伐には、講武所の軍勢を率いて出陣しています。慶応2年11月には陸軍奉行並に、慶応3年3月には奏者番に就任するなど、重要な役割を担っていました。しかし、慶応4年（1868年）1月、新政府に恭順の姿勢を示さなかったため、一時的に領地を没収されましたが、同年5月には領地を返還されています。

明治時代の活動と晩年

明治2年（1869年）6月、版籍奉還により藩知事となりますが、明治3年（1870年）4月には藩庁を和泉吉見に移し、吉見藩を立藩しました。明治4年（1871年）の廃藩置県により藩知事を免官となりました。明治11年（1878年）には、遠藤氏の旧姓である東氏に改姓しています。明治17年（1884年）の華族令により子爵に叙爵され、華族として新たな地位を築き上げました。

遠藤胤城は茶人としても知られており、素雲と号していました。明治31年（1898年）には、松浦詮が設立した輪番茶事グループ「和敬会」に参加しました。「和敬会」は、当時の華族や知名士からなる16名（後に2名追加）の会員から構成され、「十六羅漢」と呼ばれていました。

明治42年（1909年）、72歳で死去しました。墓所は東京都台東区西浅草の長敬寺と青山霊園にあります。

家族

実父: 遠藤胤統
実母: 小谷氏
養父: 遠藤胤昌
正室: 教子（堀親寚の娘）
* 子女: 東胤禄（長男）、東常任（次男）、鍈子（酒井忠宝正室）、富貴子（居初富三郎室）、昭子（山田軍太郎室）

参考文献

霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』下巻、霞会館、1996年。

まとめ

遠藤胤城（東胤城）は、藩主、茶人、華族と、様々な顔を持つ人物でした。幕末の激動期を生き抜き、明治維新後も華族社会で活躍した彼の生涯は、日本の近代史を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。茶道への情熱や、家族への愛情なども含め、多角的な視点から彼の生き様を考察することで、より深い理解が得られるはずです。

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