郷古潔

郷古 潔（ごうこ きよし）について

郷古潔は、1882年11月13日に岩手県胆沢郡水沢町で生まれた日本の実業家です。彼は三菱重工業の社長を務め、太平洋戦争中には東條内閣の顧問としても活躍しましたが、戦後にはA級戦犯として逮捕され、公職追放の苦難を経て、再び財界に戻りました。

経歴の始まり

郷古は教育者であった父、郷古玉三郎の長男として誕生し、仙台藩伊達氏に仕えていた先祖の血筋を持っていました。盛岡中学校や第一高等学校を経て、東京帝国大学法科大学で法律を学びました。1908年、三菱合資会社に入社し、九州の炭鉱に転勤となりました。その後は三菱造船、神戸造船、三菱重工、日本航空会社といった三菱財閥の各社でキャリアを積んでいきました。

社長就任と政治的関与

1941年には三菱重工業の社長に就任し、1943年には東條英機内閣の顧問に選ばれました。ところが、社長在任中に岩崎小彌太に相談せずに内閣顧問に就任したため、彼の行動は批判を浴び、結果として社長を解任され会長に退くこととなりました。しかしこの後も戦争の影響を受け、次第に戦時体制の指導者としての役割が増していきました。

郷古は大政翼賛会の生産拡充委員長を務め、また軍需省顧問として敗戦間近まで関連する業務を遂行しました。この時期、彼はドイツのクルップと並び日本の軍需生産の中心として知られており、日々の業務を通じて国防のために尽力しました。

戦後の苦難と復帰

1945年12月2日、連合国軍最高司令官総司令部は郷古を逮捕するよう命令し、彼はA級戦犯として巣鴨刑務所に収監されました。逮捕の理由には、彼が東條家に対して金銭や株式を贈与したという調査結果が発表されるなど、様々な問題が絡んでいました。彼は戦後、公職から追放され、社会的地位を失うこととなりましたが、1951年に追放が解除されました。

復帰後は、在京岩手振興協会の会長を務めるなどして財界に再登場し、多くの意見を披露していきました。また、1952年から1960年には、防衛庁所管の日本兵器工業会（現在の日本防衛装備工業会）の初代会長として貢献し、東京でも鹿島精一と共に岩手県の人々を支える活動に力を入れました。

終焉と遺産

郷古潔は1961年4月28日にその生涯を閉じました。彼の墓所は青山霊園にあります。彼の業績は日本の実業界において重要な影響を与え、多くの人々によって評価されています。郷古の生涯に関する資料は、岩手日報社の『岩手の先人100人』や、菅原昭平の著作『明鏡止水の人 郷古潔』などで確認できます。彼の業績は、戦時中の日本の実業界や財界における重要な一頁を成しています。

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