鄭衆 (宦官)

鄭衆（てい しゅう）

鄭衆（生年不詳 - 114年）は、後漢時代の宦官であり、字は季産と称しました。彼は荊州南陽郡犨県（現在の河南省平頂山市魯山県）の出身です。特に、和帝と協力して外戚である竇憲を誅殺したことで歴史に名を残しています。後漢末期まで国家を揺るがすことになった外戚と宦官の対立は、鄭衆の時代にその端緒が開かれたと言えるでしょう。

後漢初期に大司農を務めた同姓同名の人物がいますが、別人です。

略歴

鄭衆は章帝の時代に中常侍という地位に就きました。

章和2年（88年）、和帝は数え年で10歳という若さで即位しましたが、実際の政治は竇太后とその一族によって牛耳られていました。特に永元3年（91年）に竇憲が匈奴を打ち破ってからは、その権勢はますます強大になりました。しかし、鄭衆は竇憲にへつらうことなく、その忠誠心から和帝に深く信用されるようになりました。

永元4年（92年）、和帝は兄である清河王劉慶を通じて、薄昭や竇嬰の故事に倣い、竇憲を討つように鄭衆に密かに告げました。鄭衆は中心人物として竇氏一族の誅殺を主導し、その功績によって大長秋に昇任しました。さらに、永元14年（102年）には鄛郷侯に封ぜられ、宦官が侯の位を得るという前例を作りました。

その後、鄭衆や同じく宦官であった蔡倫らに権力が集中するようになりました。安帝が即位して間もない永初元年（107年）には、司空の周章が外戚の鄧氏一族と鄭衆・蔡倫を除こうとしましたが、計画が露見し、周章は自害するという事件が起こりました。

元初元年（114年）に鄭衆は亡くなり、養子の鄭閎が後を継ぎました。養子が宦官の地位を継承するという制度は、後に正式なものとして確立されました。

脚注

『後漢書』宦者列伝

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