野ばらのジュリー

テレビアニメ『野ばらのジュリー』

1979年1月4日から同年4月5日にかけて、当時の東京12チャンネル（現在のテレビ東京）系列で放送されたテレビアニメ作品です。全13話構成で、毎週木曜日の夜7時30分から8時00分まで放送されました。この作品は、当時麒麟麦酒が一社提供したアニメシリーズ『キリン名曲ロマン劇場』の第一作として企画・制作されました。

概要と位置づけ

『キリン名曲ロマン劇場』シリーズは、クラシック音楽や世界各国の名曲を主題や背景に取り入れたアニメーションを展開することをコンセプトとしており、『野ばらのジュリー』はその幕開けを飾る記念碑的な作品となりました。全13話と比較的短いエピソード数の中に、独自の物語世界を構築しました。名曲を子供たちに紹介するというシリーズ全体の意図を体現した作品と言えます。

制作スタッフとキャスト

本作の制作は、東京12チャンネルとアニメーション制作会社のダックスインターナショナルが共同で手掛けました。企画およびプロデューサーは丹野雄二氏らが担当。監督は葛生雅美氏、チーフディレクターは早川啓二氏が務め、制作現場を指揮しました。キャラクターデザインおよび作画監督はアベ正己氏が担当し、登場人物たちの個性的なデザインを生み出しました。また、美術監督は岡田和夫氏が手掛け、作品世界を色彩豊かに表現しています。

声優陣には、主人公ジュリー役に一城みゆ希氏、タニア役に川島千代子氏、アラン役に三ツ矢雄二氏といった、当時から第一線で活躍する、あるいは後に広く知られるようになる多数の才能が集まりました。他にも、中田彩子氏、池水通洋氏、菊池紘子氏、安原義人氏、田中真弓氏（ハインリッヒ役）、槐柳二氏、山下啓介氏、平井道子氏らが出演。ナレーションは、女優の奈良岡朋子氏が担当し、物語に深みを与えています。

音楽の特色

本シリーズの最大の特徴は、その音楽性にあります。『野ばらのジュリー』では、オープニングテーマにヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ作詞、フランツ・シューベルト作曲の有名な歌曲「野ばら」が採用されました。これはエンディングとして使用された時期もあります。エンディングテーマとしては、チロル地方の民謡である「山のヨーデル」のほか、シューベルトの「軍隊行進曲」や「菩提樹」、ヨハン・シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」など、クラシック音楽や伝統的な民謡が数多く用いられました。これらの楽曲は、単に背景音楽としてだけでなく、登場キャラクターが歌う形で挿入されることもあり、物語と深く結びついていました。子供向けアニメとしては異例とも言える、本格的な名曲を多用したアプローチは、このシリーズならではの試みでした。

映像ソフト化

放送終了から長い年月を経て、2005年7月22日には株式会社デジソニックより、本作を収録したDVD-BOXが発売されました。これにより、当時の視聴者だけでなく、新たなアニメファンも作品を鑑賞する機会を得ることができました。

関連事項

本作は『キリン名曲ロマン劇場』シリーズの文脈で語られることが多く、またフランツ・シューベルト作曲の歌曲「野ばら」と直接的な関連を持っています。

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