野溝勝

野溝勝の生涯と業績

基本情報

野溝勝（のみぞ まさる）は1898年に長野県上伊那郡赤穂村で生まれ、1978年に亡くなった日本の政治家であり農民運動家です。彼は衆議院議員および参議院議員を務め、左派社会党の書記長や芦田内閣での地方財政委員会委員長としても知られています。正三位勲一等瑞宝章を受章していることからも、彼の政治活動が高く評価されていたことが伺えます。

幼少期からの歩み

長野県上伊那郡赤穂村に生まれた野溝は、馬車屋の家庭に育ちました。彼は旧制飯田中学（現・飯田高等学校）を卒業後、青森農業学校畜産獣医科に入学し、1917年に卒業しました。その後、法政大学に進学しますが、すぐに中退し獣医師となった彼は長野県警察部で防疫官や衛生助手として勤務します。しかし、思想的な理由から配置換えを受けたことが影響し、1922年に退職しました。

農民運動への参画

退職後、野溝は上京し全国農民組合の宣伝部に参加、杉山元治郎とともに日本農民組合を結成し、中央委員長に選出されます。1923年には伊那町に家畜市場を設立し、農民や無産運動に従事しました。彼は積極的に小作争議に参加し、1926年には伊那電鉄争議を指導します。この時、暴力団との衝突があったことから、彼は「ケンカの勝」と呼ばれるほどの激しい闘志を見せました。

政治活動の始まり

1927年、社会民衆党の副支部長に選任された野溝は、1928年の長野県会議員選挙に出馬し、最下位で落選します。それでも彼は日本労農党や労働者農民党との統一戦線を呼びかけ、三党統一実現同盟を結成し、現在の日本の無産政党の形を整備する道筋を作りました。その後、1931年に全国労農大衆党発足に伴い入党し、1932年には社会大衆党の結成に関与します。

野溝は1935年の県議会選挙で落選したものの、1937年の第20回[[衆議院議員総選挙]]で見事に当選し、衆議院議員としての活動を開始しました。ここでは通算3期を務めましたが、戦争の激化により1942年の衆議院議員選挙には立候補を断念します。

戦後の活動

終戦後、彼は日本社会党の結成に奔走します。1946年には日本農民組合の結成大会で主事に選ばれ、1947年には衆議院農林委員長に選出されるなど、戦後の政治において大きな役割を果たしました。しかし、党内対立が激化し、農民組合は分裂します。彼はその後、左派の中心的存在として機能し続けました。

最後の年と影響

1959年には全日本農民組合連合会の初代会長に選出され、1978年に79歳で逝去します。野溝の生涯を通じて示された農民運動への情熱や政治的な影響は、のちの日本の農業政策や農民の権利に深く影響を与えました。

論争と評価

彼の活動は一部で批判も受けました。特に、シベリア抑留問題への対応に関して、視察団の団長としてソ連に行った際の発言や行動が物議を醸しました。ただ、彼の政治的立場や貢献は、農民の声を政治に届けるための努力として、今日の日本における農政への理解を深めたとも言えるのです。

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