野球くん

「野球くん」は、バンダイナムコゲームス（旧ナムコ）が手掛ける人気野球ゲーム、『ファミスタシリーズ』の世界における重要な存在です。この名称は、ゲーム内に登場する架空のプロ野球選手を指すだけでなく、シリーズ内の架空スポーツ新聞『ナムコスポーツ』や、同社の広報誌などで連載された4コマ漫画、およびその主人公の名前としても使われます。漫画の作者は、ファミスタシリーズの企画やグラフィックも手掛けた島本昌弘氏（しましま、しましま〜）。作品は、ファミスタおなじみの三頭身キャラクターで描かれており、主人公である「野球くん」を中心とした日常や野球にまつわる出来事が、ユーモラスなタッチでつづられています。

「野球くん」の漫画連載は、1993年3月12日に発売された『スーパーファミスタ2』に掲載された『ナムコットスポーツ』紙面から始まりました。これは、作者の島本氏が「ナムスポに漫画を載せたい」とプログラマーに働きかけたことがきっかけだったとされています。その後もゲームシリーズ内で展開は続き、『スーパーファミスタ3』では『野球くん2』、『スーパーファミスタ5』では2コマ漫画の『魔球くん』といったバリエーションが登場しました。ゲームソフト内の架空紙面（『ファミスタ64』ではウェブページ形式）に掲載されたほか、ゲーム外部でも様々な媒体でファンに届けられています。代表的なものとして、『ファミ通PS』誌上の『ナムコスポーツ』コーナーでの定期連載（1997年〜1999年）や、Namcoの広報誌『ノワーズ』への掲載が挙げられます。『ワールドスタジアム』シリーズの関連ガイドブックには、漫画本編に加え『やきゅうくんうらない』のような派生企画が掲載されたこともあります。これらの漫画やイラストは、書籍、そして『プロ野球 熱スタ2007』のパッケージ裏面など、多岐にわたるメディアで目にすることができました。

1996年7月26日発売の『ワールドスタジアムEX』以降、「野球くん」はナムコスターズの一員として、『ファミスタ』関連作品に度々登場しています（ただし、全ての作品に登場するわけではありません）。主なポジションは外野手で、右投げ右打ち。選手の能力値は作品によって変動が大きいものの、俊足、強肩、そして堅実な守備が彼の持ち味として描かれることが多い特徴です。2006年にサービスを開始したオンライン版『プロ野球ファミスタオンライン』でも、これらの身体能力に関する特徴は引き継がれました。興味深い点として、『ワールドスタジアム2』の公式ガイドブックに掲載されたナムコスターズの選手名鑑では、他の選手の「出身ゲーム」に対し、「野球くん」の項目には作者名である「しましま〜」と記されていることが挙げられます。これは、彼が他のキャラクターとは異なり、漫画の登場人物として生まれた背景を示唆していると言えるでしょう。

補足事項として、「野球くん」という名称は、『実況パワフルプロ野球』シリーズの「パワプロくん」と同様に、ファミスタシリーズで用いられる標準的な三頭身キャラクターモデル全体を指す呼称としても使われることがあります。例えば、2006年に開始されたオンライン版のキャラクターモデルは、「野球くん2006」と称されました。近年、ゲームパッケージなどで描かれるリアルな等身の選手キャラクターは「ファミスタくん」と呼ばれており、「野球くん」とは区別が図られています。また、『ファミスタ64』の特定のモードでは、主人公の名前を未入力で決定すると、自動的に「野球君」という名前になるユニークな仕様もありました。さらに、作者の島本氏がディレクターを務めたRPG『カムライ-神来-』の発売に関連し、広報誌『ノワーズ』には島本氏作画のパロディ漫画『カムライくん』が掲載されたり、2004年には携帯電話アプリ『ファミスタブロック崩し』にプレイヤーキャラクターとして登場したりと、「野球くん」とその周辺の存在は様々な形で展開が見られました。

もう一度検索