長崎区

長崎区：長崎市の前身となった行政区の歴史

長崎区は、明治初期に存在した行政区であり、現在の長崎市の基礎となりました。1878年（明治11年）に長崎県によって設置され、1889年（明治22年）の市制施行に伴い、長崎市へと移行しました。ここでは、長崎区の成立から市制施行までの沿革、区政の仕組み、歴代区長について詳しく解説します。

長崎区の成立と区政の開始

1878年10月28日、郡区町村編制法の公布により、従来の大小区制が廃止され、長崎市街一円が「長崎区」となりました。区の議政機関として「区会」（現在の長崎市議会の前身）、執行機関として「区役所」（現在の長崎市役所の前身）が勝山小学校内に設置されました。初代区長には家永恭種が任命され、同年11月20日に長崎区役所が開庁しました。

区内は6つの部に区分され、各区から公選で戸長が選出され、区役所の隣に戸長役所が設置されました。当初の町数は87でした。1879年（明治12年）12月には、戸長役所が長崎区戸長役所に改称されましたが、1881年（明治14年）12月に廃止され、区政は区長が掌握することとなりました。

区政の発展と市制への移行

1882年（明治15年）には、第3代区長の朝永東九郎が学務委員に任命され、長崎学区学務委員事務所が設置されました。同年7月9日には、初めて長崎区会が開設され、議長に西道仙が選任されました。区会では、区会規則の制定や選挙法が定められ、議員定数は40名、任期は4年とされました。

1883年（明治16年）には、区役所・戸長事務取扱所・議事堂の新築が議決され、桜町に建設が着工されました。1884年（明治17年）4月には新庁舎が完成し、5月1日に開庁式が挙行されました。区町村会法の改正により、長崎区では新たに区会規則・議事細則が定められ、議員定数は10名、任期は6年となりました。

1885年（明治18年）には、長崎区立長崎商業学校が設立され、教育の振興にも力が入れられました。1886年（明治19年）には、コレラの流行を受け、防疫対策として下水路の整備が開始されました。

1889年（明治22年）1月22日には、臨時区会で区立水道敷設案が可決され、水道敷設工事が長崎県に委託されました。同年2月2日、内務大臣により長崎に市制施行の旨が指定され、同年4月1日に長崎市が誕生しました。当時の長崎区の市街は総町90町、戸数6,846戸、人口4万3,351人でした。

歴代区長

長崎区の歴代区長は以下の通りです。

初代：家永恭種（1878年10月21日 - 1879年1月24日）
第2代：稲田又左衛門（1879年1月27日 - 1880年8月28日）
第3代：朝永東九郎（1880年9月21日 - 1886年8月12日）
第4代（最終）：金井俊行（1886年8月12日 - 1889年3月31日）

長崎区は短期間の行政区でしたが、長崎市の発展の基礎を築いた重要な存在でした。区会や区役所の設置、教育機関の設立、インフラ整備など、その足跡は今日の長崎市にも受け継がれています。

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