金勝寺 (栗東市)

金勝寺 (こんしょうじ)

金勝寺（こんしょうじ）は、滋賀県栗東市荒張にある天台宗の寺院で、山号は金勝山です。本尊には釈迦如来が安置されています。この寺の創建は奈良時代に遡り、僧の良弁によって建立されました。昔は「大菩提寺」として知られ、湖南地方の仏教の重要な拠点として機能していました。

歴史

概要

金勝寺は、栗東市の南部に位置する金勝山の中腹にあります。この山は単独の峰ではなく、竜王山や鶏冠山などの山系を含む地域を指しています。周囲の阿星山や飯道山とともに、金粛菩薩（良弁）の霊地として古くから信仰されています。金勝寺は一時、36の坊を抱え、周辺には25の別院が存在したことから、仏教の中心地として賑わっていました。近くには、平安時代初期のものとされる狛坂磨崖仏（国の史跡）も存在し、地域の仏教文化の根深さを物語っています。当初は法相宗系の寺院でしたが、平安時代後期からは天台宗に属するようになりました。

創建

金勝寺は寺伝によれば、天平5年（733年）に聖武天皇の命により、良弁が創建したとされています。ただし、創建に関する異なる伝承も存在します。中世の記録によれば、この寺は天武天皇の白鳳元年（672年）に役小角（役行者）が修行していた霊跡であり、養老元年（717年）に金粛菩薩が開基したとされています。また、平城京の鬼門を守る寺とされていました。仁明天皇の治世において、金勝寺は「金勝山大菩提寺」として国家公認の寺院に認定され、以後も歴史的な役割を果たしてきました。

中世以後

建武2年（1335年）には、後醍醐天皇によって祈願所とされましたが、その後1549年の火災によって寺は衰退しました。その後再建されたものの、往日の規模には戻らず、近世には徳川家康が寄付を行うなどの支援がありました。

境内

境内には仁王門や本堂、二月堂、虚空蔵堂などが立ち並び、各堂には多くの仏像が安置されています。また、名木である千年杉や楓も見ることができます。寺の山麓には春日神社があり、その近くに里坊があります。

文化財

金勝寺にはいくつかの重要な文化財があり、特に平安時代の木造仏像が多く保管されています。たとえば、木造釈迦如来坐像や木造軍荼利明王立像、木造虚空蔵菩薩半跏像など、いずれも貴重な文化財です。

所在地とアクセス

金勝寺の本坊は滋賀県栗東市荒張1394に位置しており、JR琵琶湖線や草津線からのアクセスが可能です。最寄りのバス停からは徒歩でアクセスできます。拝観料は500円（20名以上は450円）で、拝観時間は9時から17時（冬期は9時から16時30分）です。里坊もあり、こちらは事前の電話予約が必要ですが無料で見学可能です。

金勝寺は、仏教文化と歴史を体感するための貴重な場所であり、多くの訪問者にとって心を打つ場となっています。

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