金森氏

金森氏

金森氏は、美濃源氏の流れを汲む日本の氏族です。その歴史は、清和源氏の流れを汲む土岐氏の当主・土岐成頼の子である定頼が、美濃国山県郡大桑（現在の岐阜県山県市大桑）に領地を得たことに始まります。定頼は、大桑氏を称した後、船田合戦の功により美濃土岐郡大畑（現在の岐阜県多治見市大畑町）に移り、大畑氏を称しました。

戦国時代から江戸時代へ

定頼の子である大畑定近は、後に近江国の金森村（現在の滋賀県守山市金森）に移り住み、金森姓を名乗ったと伝えられています。戦国時代には、定近の子である金森長近が織田信長に仕え、斎藤氏攻略戦や長篠の戦いなどで活躍しました。その功績により、天正3年（1575年）には越前大野の一部を信長から拝領し、大名となりました。長近は当初柴田勝家の与力でしたが、勝家滅亡後は羽柴秀吉に従い、天正13年（1585年）には飛騨国攻略を命じられ、飛騨国主として高山城を築きました。

関ヶ原の戦いでは東軍に与し、戦後、高山藩主となり、徳川家康から美濃の上有知藩と河内国金田も与えられました。飛騨の管理は養子の可重に任せ、自身は上有知に居を構えました。長近の死後、養子の可重が跡を継ぎましたが、可重の死後には長近の子である伊東治明の子である重頼が家督を継ぎ、源氏の血の入れ替えが行われました。

転封と改易、そして再興

金森氏は、その後、108年にわたり飛騨国金森藩を治めましたが、元禄5年(1692年)に飛騨一国を没収され、出羽上山藩に移封されました。さらに3年後には、美濃の郡上八幡藩に再移封されました。しかし、宝暦8年（1758年）、藩主・頼錦の代に藩政の不始末を理由に改易となりました。

頼錦の子たちは連座しましたが、後に赦免され、六男の頼興が名跡を継ぎ、子孫は旗本寄合席として存続しました。また、重頼の弟である重勝が分家を興し、本家改易後は旗本として存続しました。

幕末から明治時代へ

幕末から明治期にかけては、当主の金森近明が朝廷に早期帰順し、朝臣となりましたが、華族令による男爵叙爵の対象外となり、士族のままとなりました。

文化と一族

金森長近と可重は千利休の弟子として茶道に優れており、古田織部などとも親交がありました。また、利休が切腹を命じられた際、長男の千道安を匿った逸話も残っています。可重に廃嫡された金森重近は、道安から茶道を学び、後に宗和流を興しました。

長近の兄弟である政近も信長や秀吉に仕え、その子孫は尾張徳川家に仕官しました。金森氏は、多くの氏族と姻戚関係を持ち、一族内は複雑な関係であった時期もありました。

安楽庵策伝も金森氏の一族であるという説がありますが、疑問視されています。また、富山県高岡の鋳物産業の基礎を築いた金屋七人衆のうち、4人が金森姓であることも特筆されます。

系図

以下に金森氏の系図を示します。


土岐成頼
┃
大畑定頼
┃
金森定近（大畑）
┣━━━━┳━━┓
政近　　　長近1　政秀
┃　　　　┣━━┳───┬━━━┓
一吉　　　長則　長光 　可重2　伊東治明
　┏━━━┳━━┳━━━┫
酒井重澄　重勝　重頼3　重近
┏━━━┳━━┫　 ┃
重直　　従純　　頼直4 方氏
┏━━┫　　 ┃
近供　　頼業5　方一
　　 　 ｜　　┃　　　┃
　　 　 可英　　頼旹6　信近
　　　　 ┃　　┃　　 ┃
　　　 近忠　　可寛　 知近
　　　 ┃　　┃
　　　　 近興　　頼錦7
　　　　 ┃　　┣━━━┳━━━┓
　　　　 近利　　頼興　井上正辰　頼元
　　　　　　　　　　　　 ┃　　　┃
　　　　　　　　　　　　近興　　可儔
　　　　　　　　　　　　 ┃　　　┃
　　　　　　　　　　　　近義　　可継
　　　　　　　　　　　　 ｜　　　｜
　　　　　　　　　　　　近明　　重任
　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　重器
　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　　　　　　　　　　頼功
　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　 頼之


太線は実子、細線は養子を示す

金森氏縁故社寺・菩提寺

金龍院 - 臨済宗大徳寺

脚注

参考文献

[太田亮]]「国立国会図書館デジタルコレクション 金森　カナモリ」『姓氏家系大辞典』 第1、上田萬年、三上参次監修、姓氏家系大辞典刊行会、1934年、1599 - 1600頁。全国書誌番号:47004572。[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1130845/873 国立国会図書館デジタルコレクション。 
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』吉川弘文館、2015年11月。ISBN 978-4642014724。 

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