金沢泰裕

金沢泰裕

金沢 泰裕（かなざわ やすひろ、朝: 가나자와 야스히로）は、日本の牧師であり、キリスト教大阪弟子教会および東京弟子教会の担任牧師を務める人物です。また、神戸刑務所の教誨師や大阪府の薬物乱用防止指導員としても活動しています。

幼少期と非行

1964年1月、在日韓国人3世として大阪市淀川区に誕生しました。幼少期に在日韓国人が多く暮らす生野区へ転居。敬虔なクリスチャンの両親のもとで育ち、毎週教会に通う生活を送りました。しかし、学生時代に入ると非行に走り始め、高校入学と同時に地元の暴走族に加入。暴走行為やシンナーに耽溺する日々を送り、高校を2年生の終わりに中退しました。

暴力団員時代

18歳になる頃、集団暴走行為で補導され、少年鑑別所へ送致されます。鑑別所を出所して数ヶ月後、中学時代の知人の紹介で暴力団の世界に足を踏み入れ、舎弟となります。賭博場の運営や競馬・競艇のノミ行為、野球賭博などに携わるようになりました。1984年、20歳で正式に組員の盃を受け、結婚して独立しますが、わずか1年で所属する組が解散。組を失った喪失感から、覚醒剤や大麻といった薬物に溺れるようになります。その後、別の山口組系組織に移籍し、主に債権回収を生業としますが、金銭的に窮地に陥ります。1990年頃には、野球賭博絡みの金銭トラブルから、自らの指を詰めるに至りました。さらに、同じ組内で発生した拉致事件をきっかけに武闘抗争に巻き込まれ、間一髪で命拾いをする経験をします。これらの事件を経て、その組も解散に追い込まれました。

回心と新たな道

1992年末、組織からの離脱を決意し、家族とともに東京へ逃亡、叔父の家に身を隠します。しかし、東京でも生活は安定せず、再び野球賭博や覚醒剤に手を出してしまうなど、混迷を深めました。その頃、病に倒れた父親の死に直面したことを機に、これまでの人生を見つめ直し、回心します。そして洗礼を受け、クリスチャンとしての新たな道を歩み始めます。その後、大阪へ戻り、焼肉店の開業準備を進めながら、教会を中心とした生活を送るようになりました。

牧師への歩み

大阪での講演会で、異色の経歴を持つアーサー・ホーランド牧師と出会い、その生き方やメッセージに感銘を受け、自身も牧師を志す決意を固めます。1994年、奈良県の生駒聖書学院に入学し、本格的に神学を学び始めました。神学校の課外伝道期間では、自ら志願してホーランド牧師や韓国の弟子教会本部での訓練に参加。ホーランド牧師からは、ミッション・バラバの北米海外伝道旅行への参加を誘われるなど、関わりを深めます。1995年には妻も同じ神学校に入学しました。

牧師としての活動

1996年4月、神学校在学中に、弟子教会の主任牧師である徐康泰牧師やアーサー・ホーランド牧師、榮義之院長の勧めもあり、実家のマンションの貸倉庫を利用して教会を開設します。1997年3月に生駒聖書学院を卒業後、イエス教日本世界宣教会より按手礼を受け、正式に牧師として歩み始め、大阪の桃谷で弟子教会の開拓に尽力しました。並行して神戸改革派神学校に聴講生として通い、後に正式に入学。2001年6月に卒業しました。

2001年には、自身の半生やミッション・バラバの活動をモデルにした映画『親分はイエス様』が全国で公開され、自身も出演しました。その後、2005年にはアジア教会成長神学院、翌年には母校の生駒聖書学院で教授を務めるなど、教育活動にも携わります。2007年には鈴木啓之氏の後を継ぎ、ミッション・バラバの代表に就任しました。

信徒が増加するにつれて、教会堂は玉造、大阪市中央区高津へと移転を重ねます。さらに、東京都杉並区に東京弟子教会を設立し、現在は大阪と東京の両教会の担任牧師を務めています。

現在の活動と著作

金沢氏は現在、大阪弟子教会・東京弟子教会の担任牧師として牧会活動を行う傍ら、自身の経験を活かし、神戸刑務所教誨師として受刑者の更生を支援したり、大阪府薬物乱用防止指導員として薬物問題に取り組んだりしています。その波乱万丈な半生は多くの人々に影響を与え、これまでに複数の著書を出版しています。

主な著作として、『刺青クリスチャン』（1998年）、『イレズミ牧師とツッパリ少年達』（2000年）、『人生いつでもやり直せる＿昔ヤクザ、今牧師』（2000年）、『刺青クリスチャン親分はイエス様』（2001年）、『イレズミ牧師とツッパリ少年たち』（2004年）、『私の仕事 65人の職業人の足跡』（共著、2005年）などがあります。

もう一度検索