金生町 (鹿児島市)

金生町：鹿児島の中心で歴史と現代が交差する商業地

金生町は、鹿児島県鹿児島市に位置する、歴史と活気に満ちた町です。かつては鹿児島城下町の商業の中心地として栄え、現在もその面影を色濃く残しています。

地理と交通

金生町は、鹿児島市の中心部に位置し、城山の麓に広がっています。周囲には山下町、名山町、大黒町、中町、泉町などの町が隣接しています。

町の北端を東西に国道58号（朝日通り）が走り、中央部には鹿児島市電が南北に走っています。市電の停留所としては、いづろ通電停と朝日通電停が金生町内にあります。そのため、市内へのアクセスも容易です。

西側には、老舗百貨店である山形屋を中心に商店街が形成され、東側には鹿児島銀行をはじめとする金融機関が集中しています。

歴史

江戸時代後期までは、金生町は「木屋町」と呼ばれていました。鹿児島城の南に位置する下町の一つであり、中町と共に商店街を形成していました。

1751年（宝暦元年）、現在の山形屋が呉服商として創業。1855年（安政元年）には、菓子製造業の明石屋も金生町で創業するなど、商業の中心地として発展を遂げました。

歴史上、何度か大火に見舞われた時期もありましたが、1829年（文政12年）、木屋町は金生町と改称されました。これは、薩摩藩主・島津重豪が水戸の木町を参考に改称を幕府に願い出た結果です。

明治時代に入ると、1879年（明治12年）、現在の鹿児島銀行の前身となる第百四十七銀行が金生町に本店を置き、金融の中心地としての役割も担うようになりました。1889年（明治22年）には鹿児島市の町として正式に金生町が誕生します。

1914年（大正3年）には鹿児島電気軌道（現在の鹿児島市電）が開通。いづろ通電停、朝日通電停、金生町電停（後に廃止）が設置され、交通網が整備されました。1965年（昭和40年）には住居表示が実施されました。

産業

金生町は、江戸時代から続く商業の中心地として発展してきました。山形屋や明石屋などの老舗企業が、金生町の商業を支え、現在もその伝統を受け継いでいます。

明治初期には、小間物、反物、洋物、生魚、鰹節などの多様な商いが行われており、金生町、中町、呉服町の3町で鹿児島城下の商業の84%を占めるほどでした。1924年（大正13年）の統計では、70軒以上の商店が営業しており、まさに商業の町として栄えていました。

山形屋

1751年（宝暦元年）創業の山形屋は、金生町を代表する百貨店です。明治時代には、進歩的な陳列式を導入し注目を集め、1916年（大正5年）には関西以西で初の鉄筋コンクリート造の百貨店を建設しました。現在も鹿児島県を代表する百貨店として、地域経済を牽引しています。

金融機関

明治時代以降、数多くの金融機関が金生町に集積しました。現在の鹿児島銀行の前身となる第百四十七銀行をはじめ、黒松銀行、鹿児島勤倹貯蓄銀行などが設立され、鹿児島の金融の中枢を担ってきました。現在も鹿児島銀行やその他大手銀行の支店が置かれ、金融の中心地としての役割を継続しています。

施設

金生町には、山形屋、明石屋などの商業施設に加え、鹿児島銀行本店、九州フィナンシャルグループ（肥後銀行と鹿児島銀行の持株会社）本店など、数多くの金融機関の本店や支店が所在しています。その他、みずほ銀行、三井住友銀行などの支店もあります。また、大國主神社などの寺社もあります。

人口

金生町の現在の住民数は少ないですが、歴史的背景や商業的価値から重要な地域です。

交通

金生町は、鹿児島市電と国道58号が通る交通の要衝です。バス路線も整備されており、市内外へのアクセスは良好です。

著名な出身人物

金生町からは、山形屋を一代で築き上げた岩元信兵衛氏や、女性として初めて東北帝国大学に入学した栄養学者である丹下梅子氏など、数々の著名な人物が輩出しています。

まとめ

金生町は、歴史と伝統を継承しながら、現代社会においても商業の中心地として活況を呈する町です。古くからの町並みや老舗企業、そして近代的な商業施設が共存する魅力あふれるエリアであり、鹿児島を代表する重要な地域の一つと言えるでしょう。

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