金純

金純（きん じゅん）は、生年不詳ながら1440年に没した明代の官僚であり、字を徳修と称しました。本貫は泗州臨淮県にあります。

生涯

金純は、洪武年間に国子監生となり、官僚としてのキャリアをスタートさせました。その後、吏部尚書の杜沢の推薦により、吏部文選郎中に任じられます。1398年（洪武31年）には、江西布政司右参政として地方に出向しました。

1402年（建文4年）、永楽帝が即位すると、金純は蹇義の推薦を受けて刑部右侍郎として中央に召し出されます。1406年（永楽4年）には、北京の宮殿造営のために、湖広での材木伐採を命じられました。1409年（永楽7年）には、永楽帝に従い北京を巡視し、翌1410年（永楽8年）には、永楽帝の漠北遠征にも随行、この際に刑部左侍郎に進んでいます。

1411年（永楽9年）、金純は宋礼とともに会通河の改修事業にあたるよう命じられます。さらに、徐亨・蔣廷瓚とともに魚王口の黄河故道の浚渫にも従事しました。かつて洪武帝が河南と山西の間で軍を展開した際、大将軍の徐達に命じて塌場口を開かせ、泗州に黄河を通じさせました。さらに、済寧の西の耐牢坡を開き、曹州・鄆州の河水を引き入れ、中原の水運を整備しました。しかし、その後黄河故道が塞がってしまったため、金純がその改修を担うことになったのです。

金純は、開封の北から水を引き、鄆城に導き、塌場に入れ、穀亭の北10里に出しました。さらに、永通と広運の2箇所に水門を設けました。これらの河川改修事業は、金純の治水能力を示すものとして特筆されます。1416年（永楽14年）3月、金純は礼部左侍郎に転じ、間もなく礼部尚書に進みました。1417年（永楽15年）には、再び永楽帝に従い北京を巡視しました。

1421年（永楽19年）、金純は給事中の葛紹祖と共に四川巡撫を務めます。1424年（永楽22年）8月、洪熙帝が即位すると、金純は工部尚書に転じ、10月にはさらに刑部尚書に転任しました。1425年（洪熙元年）には、太子賓客を兼任することになります。金純は刑部の属吏に対し、罪人に対する乱暴な取り扱いを戒めました。そのため、彼の在任中には獄死者を出すことはなかったと伝えられています。

1428年（宣徳3年）、金純は病と称して朝参を免除されました。しかし、朝廷の要人たちと頻繁に宴席を共にしていたことが発覚し、御史や給事中たちの弾劾を受けました。宣徳帝の怒りを買い、錦衣衛の獄に繋がれることになりました。その後、高齢を理由に釈放されましたが、太子賓客の任は解かれました。同年8月、致仕して官を去りました。1440年（正統5年）7月、金純は亡くなり、山陽伯の位が追贈されました。


金純は、官僚として多くの要職を歴任し、特に河川改修に大きな功績を残しました。しかし、晩年には不祥事により失脚するという、波乱に満ちた生涯を送った人物であると言えるでしょう。

参考文献
『明史』巻157 列伝第45

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