金蓮寺 (京都市)

金蓮寺（こんれんじ）は、京都市北区鷹峯藤林町に位置する時宗四条派の本寺です。山号を錦綾山と称し、本尊は阿弥陀如来を祀っています。この寺は、かつて「四条道場」とも呼ばれていました。

由緒と寺号の由来

金蓮寺の始まりは、時宗の僧、真観が後伏見上皇の女御である広義門院の出産に貢献したことに遡ります。この功績により、真観は上皇から祇陀林寺を賜り、それを金蓮寺と改称しました。この祇陀林寺は、一遍上人が訪れた場所であり、一遍上人にもゆかりのある地でした。歴代の住持は浄阿弥陀仏（浄阿）の名を継承しています。

歴史

1356年、足利尊氏の盟友である佐々木道誉は、一族の戦死者を弔うため、四条京極の私領を金蓮寺に寄進しました。この寄進により、金蓮寺は中世において、早歌、舞などの芸能・文化の中心地として大いに発展しました。1388年には、足利義満によって染殿院が金蓮寺に寄進され、頭塔となりました。さらに、義満は佐々木道誉が寄進した寺地についても安堵の御教書を下し、金蓮寺を保護しました。この頃から、所在地にちなんで「四条道場」とも呼ばれるようになりました。

しかし、金蓮寺の四条道場は、時宗遊行派の七条道場・金光寺との間で対立を深めていきます。1424年、金光寺との対立から堂宇を焼失し、その後、時宗十二派の一つである「四条派」として独立し、「錦綾山太平興国金蓮寺」とも称するようになりました。1425年には、足利義持が金蓮寺を金光寺の末寺とすべきだと勧告したため、信徒が7代目浄阿を高野山に追放し、寺に火を放つという事件も起こりました。

金蓮寺は足利将軍家との関係も深く、1489年には足利義政の母日野重子や9代将軍足利義尚の葬儀が金蓮寺で行われました。この際、対立していた金光寺側は足利義尚の葬儀には参加しませんでした。翌年には、元6代将軍足利義教の荼毘も金蓮寺で行われ、その後、金光寺でも別に行われています。

堂宇は、何度も焼失と再建を繰り返しました。旧地での最後の火災は、1864年の禁門の変による類焼でした。

18世紀末から寺域の切り売りが始まり、売却地には料亭、飲食店、商店、見世物小屋などが建ち並び、明治以降は繁華街（新京極）と化しました。寺自身も往時の面影を失い、寺運が傾いてしまいました。旧地のあった下京区中之町には、塔頭の染殿院（染殿地蔵院）のみが残り、その前に「時宗開祖一遍上人念仏賦算遺跡」の石碑が建てられています。

1928年、現在の京都市北区鷹峯に移転しました。この移転の際、本堂も移築のために解体されましたが、諸事情により再建には至らず、長らく保管されていました。戦後、桑名空襲で伽藍を焼失した真宗大谷派桑名別院本統寺が復興する際に、この金蓮寺の旧本堂を購入し、現在も桑名別院の本堂として使用されています。

金蓮寺は、『浄阿上人絵詞伝』をはじめとする多くの什宝を現在も所蔵しています。

塔頭

金蓮寺には、かつて多くの塔頭（子院）がありました。主な塔頭としては、元正院、梅林院、後松庵、照月院、知足院、南涼院、寿福庵、永福院、宝珠庵、長春庵、尋牛庵、興徳庵、松林院、放光庵、真珠庵、そして現在の染殿院である十住心院などが挙げられます。

文化財

金蓮寺には、重要文化財として「絹本著色阿弥陀如来像」が所蔵されています。これは南宋時代の作とされています。

所在地

金蓮寺の本院は、京都府京都市北区鷹峯藤林町1-4に位置しています。また、塔頭の染殿院（染殿地蔵院）は、京都府京都市中京区新京極通四条上る中之町562にあります。

外部リンク

• - 京都社寺案内
• - 京都社寺案内 染殿院
• - 染殿院
• - 染殿院（新京極商店街振興組合公式ウェブサイト）
• - 染殿地蔵（京都通百科事典）
• - 染殿院 木造地蔵菩薩立像（染殿地蔵）（京都観光Navi）

関連項目

• - 染殿后
• - 為平親王（染殿親王）

脚注

• - 金蓮寺蔵 淨阿上人繪傳について
• - 神殿大観

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