金蔵寺 (船橋市)

御瀧山 金蔵寺（おたきさん こんぞうじ）

金蔵寺は、千葉県船橋市金杉にある真言宗豊山派の寺院です。山号を御瀧山と称し、本尊には不動明王をお祀りしていることから、地元では「御滝不動尊」の名で親しまれています。また、吉橋大師八十八ヶ所巡りの第五十八番札所としても知られています。

由緒

金蔵寺は、1423年（応永30年）に創建されたと伝えられています。言い伝えによると、常陸国の守護大名であった佐竹義仁に招かれた越後国出身の僧、能勝阿闍梨が、下総国金杉村（現在の船橋市金杉）に夜でも明るく輝く場所があるという噂を聞きつけました。能勝阿闍梨が21日間の護摩を修したところ、夢に円仁（慈覚大師）が現れ、この地に不動明王像が埋まっていると告げられました。村人の協力を得てその場所を掘り起こすと、円仁作とされる不動明王像が出土し、その跡からは水が湧き出して滝になったとされています。この不動明王像を安置するために建てられた小さな堂が、金蔵寺の始まりであると言われています。

江戸時代に入ると、金蔵寺の境内が幕府直轄の小金牧に含まれることになったため、住職は村内に居住を移し、毎年8月のみ入山を許されて大祭が執り行われていました。明治時代になると、牧馬がなくなったことから、元の敷地に戻ったとされています。

1919年（大正8年）に編纂された『千葉県誌 稿本 巻上』には、金蔵寺の由来について以下のように記されています。

伝へ云ふ、応永三十年七月越後の僧能勝来り草庵を結び不動尊を安置し、同三十年堂宇を営み之を移す 金蔵寺是なり、天和三年（1683年）再び此の地に移し本堂を造り、嘉永六年（1853年）再建すと。

伽藍

金蔵寺の境内には、以下のような堂宇や施設があります。

本堂（不動堂）
2000年（平成12年）に建立された本堂で、円仁作と伝えられる木造の不動明王立像が安置されています。

大師堂
かつての金蔵寺の本堂であり、内部には様々な大絵馬や奉納額が掲げられています。現在は、空海（弘法大師）を祀るお堂となっています。

観音堂
真言宗豊山派の総本山である長谷寺（奈良県桜井市）の十一面観音像を模したものを本尊としています。堂内の天井には、日本画家である児玉輝彦氏によって百人一首が描かれています。

三重塔
2018年（平成30年）4月に完成した、船橋市内では初の三重塔です。内部には、胎蔵界と金剛界の大日如来、薬師如来の三像が安置されています。

仁王門
旧本堂と同時期に建立されたとされ、約200年の歴史を持つ門です。明治時代と昭和時代に仁王像とともに修理が行われました。

行者滝（不動滝）
1847年（弘化4年）に作られた滝で、現在の滝は1979年（昭和54年）に改築されたものです。滝の傍らには不動明王が祀られています。

弁天池
仁王門の前にある湧水でできた池で、中央には六角の弁天堂が建てられています。

表門
1973年（昭和48年）に境内の欅のみを使用して改築された門です。表門から続く約1kmの参道には、四国八十八箇所を模した弘法大師像が点在しています。

歴代住職

（歴代住職に関する詳細な情報は、現在確認できるものはありません。）

御滝信仰

金蔵寺には、「下総国金椙御滝山不動堂之図」という、滝不動の四季を描いた4枚組の絵画が残されています。これらの絵画は、幕末から明治にかけて、滝に打たれて修行する行者の姿を描いたものであり、当時は多くの人が滝に打たれて修行をしていたと伝えられています。

交通

新京成電鉄新京成線：滝不動駅から徒歩約15分。
船橋新京成バス：
船橋駅北口から三咲駅経由鎌ヶ谷大仏・小室駅行きに乗車、または三咲駅から船橋駅北口行きに乗車し、「御滝不動」バス停下車、徒歩3分。

周辺施設

金蔵寺の周辺には、以下の施設があります。

御滝公園
船橋市立二和小学校
船橋市立御滝中学校
千葉県立船橋二和高等学校
船橋市立夏見運動公園

出典

『千葉県誌 稿本 巻上』（1919年）

関連項目

海老川
金蔵寺

外部リンク

御瀧不動尊金蔵寺公式ページ

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