金親和憲

金親和憲（かねちか かずのり）

金親和憲は、1969年11月12日に神奈川県横浜市鶴見区で生まれました。本名は山村和行といい、元大相撲力士です。北の湖部屋（入門時は三保ヶ関部屋）に所属し、最高位は東十両2枚目でした。趣味は映画鑑賞で、血液型はAB型です。2015年に暴行事件を起こし、日本相撲協会から解雇された後は、本名で報道されることが多くなりました。

来歴

中学時代はバスケットボール部に所属していました。中学1年生の時に父親が再婚しましたが、義母との関係は良好ではなく、喧嘩が絶えなかったといいます。体格が良かったため、多くの相撲部屋から勧誘がありましたが、一度は断り、横浜商大高校に進学しました。しかし、義母との不和から1ヶ月ほどで高校を中退し、元横綱・北の湖の内弟子として三保ヶ関部屋に入門、1985年9月場所に初土俵を踏みました。同年12月には新設された北の湖部屋に移籍しました。入門当初の四股名は本名と同じ「金親」でした。

幕下上位で伸び悩む時期もありましたが、1992年3月場所に十両に昇進し、「月山」の四股名を名乗りました。しかし、4勝11敗と負け越し、1場所で幕下に陥落しました。その後、1年半ほど幕下で低迷し、1992年11月場所からは四股名を本名に戻しました。1993年11月場所に十両に復帰してからは、暫く十両に定着しました。四つ相撲を得意とし、柔軟な体を活かした土俵際の粘りを見せることがありました。1995年7月場所には自己最高位の東十両2枚目まで番付を上げましたが、幕内力士との対戦では5勝10敗と負け越し、幕内昇進は果たせませんでした。1998年3月場所を最後に幕下に陥落し、その後は十両復帰を目指して幕下上位で長く相撲を取り続けましたが、2004年5月場所には三段目まで陥落しました。同年7月場所は西三段目34枚目の地位で3勝4敗と負け越し、これを最後に現役を引退しました。

引退後は、当初名古屋のラーメン店で修行する予定でしたが、2004年7月に9代宮城野（元小結・廣川）の次女と結婚し、娘婿となったことから、年寄・宮城野を襲名し、宮城野部屋を継承することになりました。年寄の襲名には「十両と幕内通算30場所以上」という規約がありますが、部屋の後継者として認定された場合は「十両と幕内通算20場所以上」で良いという例外規定があり、金親にはこの例外規定が初めて適用されました。しかし、当時の宮城野（10代。元前頭13・竹葉山）が別の年寄名跡（熊ヶ谷）を取得するのに時間を要したため、正式な引退届が受理されたのは2004年9月場所後でした。そのため、同場所の番付には四股名が記載されました。宮城野継承により弟子となった光法・龍皇・若竹葉らとは現役時代に対戦経験があり、若竹葉とは現役最終場所で対戦しました。また、幕下時代には朝青龍に勝利したこともあります(1999年11月場所)。年寄襲名に際しては、一門外の部屋を継ぐことから反対者もいましたが、当時の理事長で現役時代の師匠でもあった北の湖の後押しによって実現しました。

2007年5月場所後、部屋継承により弟子となった白鵬が第69代横綱に昇進しました。しかし、横綱審議委員会の席で、脚本家の内舘牧子委員から「横綱白鵬の師匠は誰なのか」という質問が当時の北の湖理事長に寄せられました。北の湖は「それは熊ヶ谷だ」と即答し、「宮城野部屋を継承した元・金親は事実上白鵬の師匠ではない」という見解を示しました。ただし、白鵬の大関昇進時と横綱昇進時の昇進伝達式に同席したのは当代師匠であった元十両金親・11代宮城野夫妻でした。その後の報道でも、金親が名義上の師匠、竹葉山は育ての親として扱われていました。

2007年5月掲載の週刊現代で、金親が八百長を告白した録音テープの存在が報じられたことを巡る訴訟で、日本相撲協会が勝訴したことを受けて、協会はこの問題に関する扱いを協議しました。2010年12月24日の理事会で本人に弁明の場を設けた上で、「15代熊ヶ谷と年寄名跡を交換」し、部屋の師匠の座から追放する勧告を行うとともに、個人の処分として「主任」から「平年寄」に降格させました。これにより、金親は11代宮城野から16代熊ヶ谷に、竹葉山は15代熊ヶ谷から12代宮城野にそれぞれ名跡を変更し、竹葉山が宮城野部屋を再継承する形となりました。

日本相撲協会は2014年からの公益財団法人への移行に伴い、年寄名跡を協会側で一括管理するために、2013年12月20日までに当時の現職年寄全員に対し協会へ年寄名跡証書を提出することを求めました。しかし、金親は9代宮城野の遺族との話し合いが難航し、当初の締め切りまでに提出できませんでした。延期された期限が迫る中、遺族の次女と離婚することと、数千万円の解決金を支払うことで合意し、証書は期限2日前の2014年1月9日に提出されました。

2015年7月中旬にはマネージャーの男性へ暴行を加えて負傷させた疑いが浮上し、同年9月2日に警視庁に逮捕されました。その後、起訴され、同年10月1日に日本相撲協会から解雇処分を受けました。2016年3月25日には、懲役3年執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。

なお、熊ヶ谷の年寄名跡は、懲戒解雇後も暫く金親が所有していましたが、2018年4月20日に玉飛鳥大輔が名跡変更した際に取得したと見られています。

主な成績

通算成績：494勝481敗11休 勝率.507
十両成績：167勝193敗 勝率.464
現役在位：114場所
十両在位：24場所

改名歴

金親 和行（かねちか かずゆき）1985年9月場所-1992年1月場所
月山 一行（がっさん かずゆき）1992年3月場所-1992年9月場所
金親 和憲（かねちか かずのり）1992年11月場所-1999年11月場所
金親 剛健（- ごうけん）2000年1月場所-2004年5月場所
金親 和行（- かずゆき）2004年7月場所-2004年9月場所

年寄変遷

宮城野 友淳（みやぎの ともあつ）2004年8月-2008年8月
宮城野 正浩（みやぎの ただひろ）2008年9月-2010年12月
熊ヶ谷 正浩（くまがたに ただひろ）2010年12月-2011年1月
* 熊ヶ谷 典諭（くまがたに のりさと）2011年1月-2015年10月

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