金野駅

金野駅

金野駅（きんのえき）は、長野県飯田市千栄に位置する、東海旅客鉄道（JR東海）飯田線の駅です。秘境駅の一つとして知られ、その特異な立地と歴史から、多くの鉄道ファンや観光客の関心を集めています。

歴史

金野駅は、1932年（昭和7年）10月30日に三信鉄道の金野停留場として開業しました。当時は旅客駅としての役割を担っていました。1943年（昭和18年）8月1日には、三信鉄道線が国有化され、飯田線の一部となり、鉄道省（後の日本国有鉄道）に移管されました。この時、停留場から駅に昇格しています。

開業当初は、利用できる旅客に制限がありましたが、1952年（昭和27年）12月2日にその制限は廃止されました。1987年（昭和62年）4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR東海の駅となりました。

2013年（平成25年）9月には、台風18号の影響で平岡駅 - 天竜峡駅間が運休となり、バスによる代行輸送が行われましたが、同年10月10日に運転を再開しました。

駅構造

金野駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅です。飯田駅が管理する無人駅で、駅舎はありません。ホーム上には待合所が設置されています。

利用状況

金野駅の利用状況は非常に少なく、2018年度の乗車人員は僅か198人でした。これは1日平均で1人にも満たない数です。利用者の多くは地元住民ではなく、かつて存在したレストランを目的とした訪問者がほとんどでした。

飯田線内の全94駅の中で、最も利用客数が少ない駅となっています。以下に、2003年度から2018年度までの年間利用客数の推移を示します。

2003年度 - 314人
2004年度 - 273人
2005年度 - 248人
2006年度 - 109人
2007年度 - 83人
2008年度 - 141人
2009年度 - 138人
2010年度 - 155人
2011年度 - 157人
2012年度 - 227人
2013年度 - 169人
2014年度 - 236人
2015年度 - 195人
2016年度 - 162人
2017年度 - 198人
2018年度 - 198人

特徴

金野駅は、秘境駅として知られており、周辺には民家が全くありません。駅名の由来となった金野の集落は、駅から約3.5km（徒歩1時間ほど）離れた場所に位置しており、米川に架かる橋を渡り、坂を登った先にあります。ただし、集落自体は駅から1km（徒歩20～30分）ほど坂道を登れば姿を現します。

駅前まで舗装された道路が通じているため、秘境駅でありながら、車でアクセスできる珍しい駅です。また、2011年からは、駅からやや離れた場所に個人経営の「ジジ王国 山のレストラン」という食堂がありましたが、2021年1月10日に廃業しました。

駅前にはかつて屋根付きの自転車置き場がありましたが、現在は撤去され、基礎部分が残っています。

集落から離れた場所に駅が設置された理由は、この区間を建設した三信鉄道が、当初は集落の多い場所に線路を通そうとしたものの、天竜川によって作られた複雑な地形のため開削を断念し、現在のルートになったためです。

金野集落は、駅が位置する飯田市ではなく、隣接する泰阜村にあります。

当初、この駅は設置予定ではありませんでしたが、当時の村人の運動によって設置が実現しました。駅のベンチには『飯田線らくがきノートシリーズ』という交換ノートが置かれています。駅の看板の「金」の文字に触れると金運が上がるとも言われています。

駅周辺

天竜川
阿知川

隣の駅

東海旅客鉄道（JR東海）

飯田線

臨時急行「飯田線秘境駅号」停車駅
■快速（上りのみ運転）・■普通（一部の列車は通過）

唐笠駅 - 金野駅 - 千代駅

脚注

参考文献

曽根悟（監修）、朝日新聞出版分冊百科編集部（編集）「飯田線・身延線・小海線」『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』第3号、朝日新聞出版、2009年7月26日。

関連項目

日本の[[鉄道駅一覧]]

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