鉄人28号 (テレビアニメ第1作)

1960年代を彩った国民的アニメ『鉄人28号』：詳細解説

1963年10月20日から1965年5月27日まで、そして1965年9月1日から11月24日にかけて、フジテレビ系列で放送された『鉄人28号』は、横山光輝の漫画作品をアニメ化した最初の作品として知られています。全97話（第1期83話、第2期14話）という長編アニメで、モノクロ映像で制作されました。1965年には第28話から第52話までの再放送も行われました。

スタッフとキャスト：豪華な顔ぶれ

このアニメーションの制作には、多くのベテランスタッフが参加していました。監督には大西清、山本功、河内功、渡辺米彦、若林忠雄、上金史明、瀬古常時、松木功などそうそうたるメンバーが名を連ねています。脚色はアシエグループ、動画演出は庵原和夫、脚本は岡本欣三らが担当。星俊六による背景画、三木鶏郎、越部信義、嵐野英彦による音楽も作品に深みを与えています。制作はTCJ、スポンサーは江崎グリコとグリコ協同乳業が務めていました。

キャストには、金田正太郎役の高橋和枝、敷島博士役の矢田稔、大塚署長役の富田耕吉、村雨健次役の久野四郎（後に安藤敏夫）、ブラックドッグ博士役の加茂喜久、そしてナレーションは白石冬美（第1話のみ）と藤本譲が担当しました。第1話では、敷島博士と大塚署長の役が逆転しているという興味深いエピソードもあります。この初期のナレーター白石冬美は、後年の総集編でアニメキャラとして再登場しました。

テーマソング：時代を彩る名曲たち

主題歌は、大きく分けて2種類存在します。まずはデューク・エイセスが歌う「鉄人28号」（第1話〜11話、および「誕生編」）。作詞・作曲・編曲は三木鶏郎が担当しました。この曲は「鉄人28号の歌」とも呼ばれ、東芝レコード、ビクターレコード、朝日ソノラマの3バージョンが存在します。アンサンブル・ボッカによるカバー版もあります。

第12話以降は西六郷少年少女合唱団による「鉄人28号の歌」が使用されました。こちらはデューク・エイセスバージョンと歌詞は同じですが、「グリココーラス」がなく、歌い手が異なります。エンディングテーマには、越部信義作曲のインストゥルメンタル楽曲「正太郎マーチ」と、西六郷少年少女合唱団が歌う「進め正太郎」（作詞：伊藤アキラ、作曲・編曲：越部信義）がありました。「進め正太郎」は「正太郎マーチ」に歌詞をつけたもので、上高田少年合唱団によるカバー版も存在します。さらに、ボーカル・ショップによるイメージソング「ギャング団のうた」（作詞：伊藤アキラ、作曲・編曲：越部信義）も制作されました。

放送と劇場版：様々な展開

本放送では、第11話と第12話の間に「誕生編」という総集編が放送されました。このエピソードは、DVDの特別編として収録されていますが、再放送以降は放映されていません。番組はフジテレビを制作局として、全国各地の系列局で放送されました。放送時間は局によって異なっていました。

1964年7月21日には、劇場版『鉄人28号 ミラクル魔術団 海底基地』（第30・31話のブローアップ版）が「まんが大行進」で公開されました。劇場版では、TV版とは異なるオープニング映像や、クレジットロゴ、テーマ曲などが使用されています。併映作品には『狼少年ケン』『少年忍者風のフジ丸』（後に『忍者部隊月光』に変更）『エイトマン』がありました。

グリコとのコラボレーション：提供クレジットと楽曲使用

『鉄人28号』は、江崎グリコとその関連会社であるグリコ乳業（グリコ協同乳業）の買い切り番組でした。そのため、放送開始時とオープニングテーマの最後に、デューク・エイセスによる「グリコ、グリコ、グ〜リ〜コ〜」というコーラス（グリココール）が流れました。このオープニングは、CS放送でも使用されました。西六郷少年少女合唱団に歌唱が交代した後も提供は継続されましたが、「グリココール」は廃止されました。この「グリココール」は、後のグリコ提供番組でも使用されました。「正太郎マーチ」は、後年『彼氏彼女の事情』（テレビ東京）の「前回のあらすじ」のBGMとして使用されたという、意外な繋がりもあります。また、大塚署長役の富田耕生は、『太陽の使者 鉄人28号』および『六神合体ゴッドマーズ』でも同じ役を演じています。

参考文献

飯城勇三『「鉄人28号」大研究 - 操縦器（リモコン）の夢』 ISBN 4062691787
小泉俊博『懐かし玩具の王様 “鉄人28号”』 ISBN 4766332474
池田啓晶編著『鉄腕アトム vs 鉄人28号 - 僕たちの「少年」時代』 ISBN 4900528285
『鉄人28号大百科』 ケイブンシャ、1981年

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