上高田少年合唱団

上高田少年合唱団：昭和アニメ音楽史を彩った子供たちの歌声

上高田少年合唱団は、1948年、東京都中野区上高田小学校を拠点に発足した児童合唱団です。指導にあたったのは、東京第二師範学校（現・東京学芸大学）卒業の奥田政夫氏。当初は男女混成でしたが、1950年に男子だけの合唱団となり、その卓越した歌声で瞬く間に頭角を現しました。

結成間もない1950年には「全日本学生[[音楽コンクール]]」合唱部門で東日本一位を獲得。1953年には「NHK全国唱歌ラジオコンクール」で全国一位に輝き、1954年には両コンクールで全国一位という快挙を達成しました。この頃より『上高田』の名は全国区となり、レコード会社や放送局から主題歌やCMソングの依頼が殺到するようになりました。小学校児童名義での歌唱が困難になったことから、1954年以降は「上高田少年合唱団」として活動するようになります。

1957年には人気ラジオドラマ『赤胴鈴之助』の主題歌を担当。その後も、数々のアニメや特撮番組の主題歌、CMソングなどを歌い上げ、昭和のアニメ音楽史に大きな足跡を残しました。代表的な作品としては、1963年の『鉄腕アトム』や1965年の『スーパージェッター』、そして『マグマ大使』の挿入歌「ガムの歌」など、子供たちの世代を超えて愛された名曲が数多くあります。

奥田氏の転任に伴い、合唱団の活動拠点は中野区から練馬区、板橋区へと移りましたが、名称は「上高田少年合唱団」のまま。それぞれの地域で指導した児童たちが、テレビ番組やレコードで歌声を披露しました。

高度経済成長期、活況を呈した日本のアニメ業界において、上高田少年合唱団の歌声は、数多くの作品に彩りを添えました。子供たちの純粋で力強い歌声は、時代を超えて人々の心に響き、日本のアニメーション音楽に欠かせない存在となりました。彼らの歌声は、日本の高度経済成長期、そしてアニメ黄金時代の象徴とも言えます。

1975年、奥田氏の退職とともに上高田少年合唱団は活動を終了しました。しかし、彼らの歌声は、現在も数多くの作品を通して聴くことができます。

上高田少年合唱団の軌跡：主な担当作品

上高田少年合唱団が歌唱した作品は多岐に渡ります。以下はその一部です。

1950年代: 『赤胴鈴之助』『怪人二十面相』『遊星王子』『まぼろし探偵』『鉄腕アトム (実写版)』『矢車剣之助』『ミッキーマウス・クラブ』『鉄人28号』『少年猿飛佐助』など
1960年代: 『少年探偵団』『CQ!ペット21』『小天狗小太郎』『笛吹童子』『少年発明王』『鉄腕アトム (アニメ第1作)』『銀河少年隊』『ビッグX』『宇宙パトロールホッパ』『スーパージェッター』『宇宙少年ソラン』『海賊王子』『レインボー戦隊ロビン』『丸出だめ夫』『マグマ大使』『スカイヤーズ5』『キャプテンウルトラ』『わんぱく探偵団』『マイティジャック』など
* 1970年代: 『ちびっこスペシャル』など

これらの作品は、日本のアニメーション史において重要な位置を占めており、上高田少年合唱団の歌声は、これらの作品の魅力をさらに高める一助となりました。

記憶を繋ぐ試みと、意外な繋がり

1996年、上高田小学校創立70周年記念事業として、OBが集まり児童に歌を披露する計画が持ち上がりましたが、消息不明のOBも多く、実現には至りませんでした。しかし、2006年には「東京国際アニメフェア2006」で特別功労賞を受賞し、その功績が改めて認められました。

また、俳優の高橋元太郎氏や、大川興業代表取締役総裁の大川豊氏など、著名な方々も上高田少年合唱団のメンバーであったことが知られています。さらに、特撮番組『風雲ライオン丸』の主題歌を歌った浜ジョージ氏も、少年時代に上高田少年合唱団に在籍していました。

上高田少年合唱団は、その活動期間こそ短かったものの、日本のアニメーション音楽史に燦然と輝く足跡を残しました。彼らの歌声は、昭和の時代を生きた人々にとって、かけがえのない思い出であり、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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